60歳から投資する金融商品を見極める
60歳からの投資の全体像を確認しておきましょう。
運用益の計算方法には、利息や運用益を元本に組み入れないで計算する「単利」と、利息や運用益を元本に組み入れて計算する「複利」の2種類があります。
単利の場合、利息や運用益は常に元本に対してのみつきます。それに対して複利の利息や運用益は、元本に組み入れた利息や運用益に対してもつきます。
金融商品を単利と複利に分けると、図表2のようになります。
複利運用できる「投資信託」「ETF」「REIT」「株」といった金融商品は、利息、配当金、分配金など運用益を再投資することで、複利効果を得ることができます。
なお、運用益には「評価益(未実現利益)」も含まれていて、この評価益は自動で再投資している状態となります。たとえば、100万円分投資した商品が200万円(評価益100万円)になっている場合を想定します。売却して新たに投資し直さなくても、その時点で評価益100万円を含めた200万円分で投資しているのと同じ状態だからです。
米国債のうち「ストリップス債」と呼ばれる債券は複利効果が得られます。定期預金も利息が口座に振り込まれ、以後はその利息に対しても利息がつくのですから、複利の金融商品です。
70歳までの資産形成には複利商品を選ぶ
一方、単利の金融商品には、「10年変動国債」「Funds」「個人向け社債」「米国利付債」があります。単利の金融商品は、得られた利息を元本に組み込むことはできません。そのため、「利息に新たな利息がつく」ということはないのですが、定期的に利息を受け取れ、生活に充てることができます。
単利と複利、どちらが良いかですが、資産を効率よく増やすなら複利を活かせる商品がベターです。よって、仮に70歳まで資産形成するのであれば、投資信託や株に資産を集中させて運用したほうがいいのです。
そして、70歳以降、資産を取り崩すフェーズになったら、「キャッシュフローを生む資産」をポートフォリオ(資産の組み合わせ)に組み込んでいきます。
利息、配当金、分配金など定期的に受け取れる資産を「キャッシュフローを生む資産」と呼んでいます。資産によって、目安となる金利・配当利回り・分配金利回りとリスクが異なります。