NISA口座開設は0歳からが理想

金融の世界には、金融経験者と未経験者との情報の格差があります。たとえば自らの健康のことであれば、病院の医師が言うことを、ハイハイとうのみにするのではなく、自らもネットなり本なりで調べながら進めるでしょう。

でも、なぜか金融のジャンルでは、著名人のお勧めや流行が是となってしまう。自ら調べて学ぶモチベーションのないまま、他の人がやっているからとか、儲かっているからというケースが非常に多い。

そうではなく、自分の知識と経験をベースにしながら、主体的に運用していくのが望ましいわけです。

経済や投資こそ、教育が重要です。岸田政権の「新しい資本主義実現会議」の民間構成委員として、つみたてNISAの恒久化を私は訴えてきましたが、同時に、幼少期からのつみたてNISAを通じて生涯の資産形成を促すべきだということも提案していました。これについては、証券業協会などが一緒に推してくれなかったので実現できませんでしたが、新政権で一個人として要求し続けます。成人やシニア世代ばかりでなく、これから資産形成をしなければいけないのは未成年世代です。だからこそ、重要なのです。

当然ながら、積立投資資産形成というのは、0歳からが理想です。この世に生まれたときから、親御さんたちのサポートによって生きていく時間と共に丁寧に積み立てていく。

つみたてNISA口座を0歳から解禁という提言は、これからも続けたいと思っています。

構成=池田純子

渋澤 健(しぶさわ・けん)
シブサワ・アンド・カンパニーCEO

1961年生まれ。83年テキサス大学卒業。87年UCLA大学MBA経営大学院卒業。JPモルガン銀行、ゴールドマン・サックス証券会社などを経て、2001年シブサワ・アンド・カンパニーを創業。08年コモンズ投信を設立し、会長に就任。多数の公職と共に、外務省「SDGsを達成する新たな資金を考える有識者懇談会」座長などを務める。著書に『渋沢栄一 100の訓言』(日経ビジネス人文庫)、『SDGs投資』(朝日新書)など多数。渋沢栄一の玄孫(5代目の孫)にあたる。