iDeCoで定期預金を利用する方法も

2つ目は、やや変則的だが「iDeCo」(個人型確定拠出年金)という手がある。ただし、運用する先は、投資信託などではなく定期預金。iDeCoには運用益が非課税になることの他に、掛け金が全額所得控除の対象になるという大きなメリットがある。たとえば、年収が700万円の人の場合、毎月2万円の掛け金で年間約7万円の税金が軽減される。

iDeCoは、口座管理手数料(最安は月171円)がかかるので、定期預金の場合、手数料を差し引くと、当初の運用収支は赤字になってしまう。しかし、所得控除のメリットは、その赤字を補って余りあるほど大きい。「60歳まで原則引き出し不可」など、注意すべき点はあるが、還付金をきちんと貯めておけば繰上げ返済の原資として有意義に活用できる。

iDeCoで定期預金を選ぶような客は、金融機関は嬉しくないだろうが、往々にして、そういう商品の方が個人にとってはメリットがあるものなのだ。

松岡 賢治
ファイナンシャルプランナー/マネーライター

1963年生まれ。89年東京都立大学法学部卒業。証券会社のリサーチ部門等を経て96年独立、97年ファイナンシャルプランナー資格を取得。クレジットカードをはじめ資産運用・投資関連等の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』(SBクリエイティブ)、『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本』(ソーテック社)など。AllAboutガイド。