増え続けるインバウンド客の中には、東京などにある性風俗産業店に行くことを目的にする人も多いという。なぜ、このような状況になっているのか。ジャーナリストの此花わかさんは「日本人が性に関する倫理観の緩さを自ら露呈するような動画を発信して、それに海外の人が反応している」という――。(前編/全2回)
新宿・歌舞伎町
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「パートナーがセックスショップへ行っても許すって本当?」

最近、海外へ取材に行くと日本人の性の在り方について質問をされることが増えた。数週間前、ハンガリーの地方都市に滞在時も、日本語を勉強しているという現地の女子大学生に聞かれた。

「日本の女性は、パートナーがセックスショップへ行っても“浮気”だと思わず、許すって本当?」

海外旅行の目的はさまざまだが、その中には「セックスツーリズム」というジャンルもある。近年、増え続けている訪日客においては、それを念頭に来る外国人も少なくない。なぜなら、東京はタイのパタヤをしのぐアジア一の“赤線地域”と言われ、人気を博しているからだ。

前出の女子大生はある動画を見せてくれた。日本人の男性ユーチューバーが若い日本人女性たちに街頭で「風俗は浮気だと思うか?」と質問すると、女性たちは「許す。風俗は日本の文化みたいなものだから」と答えていた。

こうした動画は他にもたくさんあり、その全てが世界に配信されている。その結果、「日本人女性は浮気されても許す」「セックスを買うことは日本では一般的だ」というステレオタイプが爆発的に広まっている。

数日前に外国人の友達に見せられたXの動画は、新宿・歌舞伎町の若い女性たちが投稿しているものだった。動画では10人の若い女性たちが英語でこう発信している。

「世界中の皆さん、こんにちは。私たちは日本の若い女の子たちです。私たちには知らないことがたくさんあります。そして多くの年上の人たちは私たちよりも多くのものをもっています。でも、私たちは多くのことに気づいています。なぜなら私たちは若いからです! なぜなら私たちは若いからです! そのひとつは、このままでは日本が滅びるということです。私たちは知っています。私たちは変えられます。私たちが日本を変えます。東京新宿歌舞伎町より」