投資で成功しても幸せになれない人、お金がなくても幸せな人

他人の儲け話もSNSのいいねやフォロワー数もそうですが、自分でコントロールできないことにやきもきしても意味がない。その意味では、評価軸が自分の外にある人は幸せになれないんじゃないかなと思います。僕の周りでも、そうした人は投資で成功したり、事業で成功してお金持ちになっていても幸せそうではありません。でも、自分の中に評価軸を持っている人はお金がなくても幸せそうにしています。

評価軸が自分の外にあるか中にあるかは投資行動にも表れます。新NISAを活用したつみたて投資で言えば、自分の中の軸に照らして自分で「始めよう」と決めた人は、今回の暴落を静観できたのではないでしょうか。

一方、狼狽売りしたりやめてしまったりしたのは、他人の言葉に感化されて見よう見まねで始めた人でしょう。行動の動機が外にあるがゆえに、本来は自分と関係ないはずの情報に振り回されたわけです。そうした人は、もし再挑戦するなら次は自分の投資にフォーカスするようにしましょう。人のまねをして投資行動をしていたら、儲かっても損しても学びにつながりませんから。

無敗はない

最後に、格言ではありませんが「無敗はない」ということも覚えておいてください。株価は上下するものなので、20年、30年と続けていればまた乱高下する日も来ます。そのときに「無敗しか許さない」という完璧主義者のような考え方でいたら、精神的に追い込まれてしまいます。

今投資で成功している人も、失敗を繰り返して自分の投資スタイルをつくってきています。ですから、暴落しても「そりゃ下がることもあるよね」程度の気持ちでいてください。長期つみたて投資ならなおさら、そんな余裕をかませるような、ふてぶてしいぐらいの姿勢がちょうどいいと思います。

構成=辻村洋子

森永 康平(もりなが・こうへい)
株式会社マネネCEO、経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。その後2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、AIベンチャーのCFOも兼任するなど、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)、『つみたて投資の教科書』(あさ出版)など多数。