水で目を洗うのは要注意
目がかゆいとき、水道水で目を洗っていませんか。
水道の蛇口から出た水でジャバジャバと目を洗うと、スッキリしたような感じがするかもしれませんが、実は、目のためにはよくありません。
目の表面の層は、油層、水層、ムチン層の3層に自ずと整う仕組みになっているのですが、そこに水道水を加えると、せっかくの秩序が乱れて涙の質が落ちてしまいます。
水洗いで、目に入ったごみや異物を取り除けたとしても、目の表面の保護機能が破壊される危険性が大きいのです。
健康のために水泳をしている方は、とくに注意が必要です。
日本眼科医会は2008年から、水泳後の洗眼とゴーグル使用について、次のような見解を出しています。
「プールではゴーグル使用が望ましい。また、プール後の水道水による簡単な洗眼は行なってよいが、積極的に推奨するものではない」
慶應義塾大学の実験では、プールの水や水道水に含まれる塩素によって目の表面のムチンが有意に減少し、角膜上皮(黒目の最表面)のバリア機能が障害されることが明らかになりました。
目によいのは、自分の涙。自分の涙液でうるおすのがベストです。
そして応急処置として異物を取り除く以外は、まばたきが一番なのです。
「目ほぐし」で老眼や眼精疲労予防
老眼の発症時期や進み具合を遅らせる方法として、「目ほぐし」があります。
目ほぐしとは、近くと遠く、つまり目のピントの位置を変えることで毛様体筋を自力で伸び縮みさせ、ピントの調整力を鍛えるというものです。
やり方は、とても簡単。まず、利き手の人さし指を目から約30cmのところに置き、指先を1〜2秒間見る。次に、6m以上遠くを1〜2秒見る。これを交互に20回、行なうだけです。
目ほぐしの効果は、2021年の慶應義塾大学の実験によって、「40〜58歳の人の老眼症状を軽減する効果あり」と実証されました。60代以上でも、効果は期待できます。
さらに、20〜30代の人にとっても、目の疲れをほぐす「目のストレッチ」になります。
私たちは、長時間の手元の作業などで毛様体筋を酷使しています。この目ほぐしを行なうことで、毛様体筋の凝りや疲労を軽減し、眼精疲労を遠ざけることができるのです。
眼精疲労は、慢性的な頭痛や肩こりのモトになりますので、目ほぐしを行なってこまめに疲れを解消しましょう。
なお、指を使わなくても目ほぐしは可能です。
たとえば通勤中、電車の中で「近く」と「窓の外の風景」を交互に見ることでも目をほぐせます。ぜひ、お試しください。