まずは個人事業主から始めてみる

ミニ法人の場合、「はぐくみ企業年金(福祉はぐくみ企業年金基金)」に加入するという選択肢もあります。

はぐくみ企業年金は、年金としてはもちろん、退職時や休職時、育児・介護休業時にも受け取れる確定給付企業年金(DB)。加入期間が1カ月以上あれば、積立額の全額を受け取れる元本保証が魅力。1000円単位で、最大給与の20%まで(別途、限度額制限あり)設定できる掛金は、すべて損金として処理できます。ただし加入対象は、厚生年金に加入している役員が2人以上いる事業者なので、個人事業主は対象外。夫婦ともに会社の役員をしているというミニ法人に向いているでしょう。

しかしながらミニ法人でも、法人にするとなると、設立時に登記したり、年間通して決算書を作成したり、お金も手間もかかります。年間の売り上げが「700万円以上になるなら、法人にしたほうがオトク」という税理士さんもいれば、「300万円以上でもオトク」という税理士さんもいて、基準となる金額も税理士さんで異なるのが実情です。いずれも法人にすると、ランニングコストがそれなりにかかりますから、まずは、個人事業主から始めるといいでしょう。

夫婦で“共有の財布”をつくるメリット

定年後は独立起業してミニ法人をつくる夫婦もいるように、まさに老後は、夫婦で力を合わせて生きていく時期です。

これまで共働きだった夫婦も、“共有の財布”をつくって支出入をコントロールすることは非常に意味があります。お金の共通概念をもつことができるだけでなく、夫婦にとって「大事なもの」をあらためて確かめることができるからです(とはいえ、どちらかにへそくりがあるなど、その透明性をどこまで高めるかはそれぞれのパターンにお任せです)。

黄色い財布
写真=iStock.com/years
※写真はイメージです

具体的には、いったん夫婦のお金をすべて洗い出して、その総額の中で、住居費や光熱費はこれぐらい、食費はこれぐらい、と支出を“見える化”したうえで、残ったお金を自分たちで好きなように使えるようにする。そうすれば、年間で自由になるおおまかな金額が把握できるので、老後の生活スタイルをよりリアルに設計することができます。