繰り上げと繰り下げの損益分岐点とは
損を把握するために知っておきたいのが、65歳からスタートした場合と比べて受給総額がトクになる年齢をあらわす「損益分岐点」です。
たとえば、60歳から「繰り上げ受給」した人は80歳が損益分岐点、70歳から「繰り下げ受給」した人は81歳が損益分岐点です。
でも単に「○○歳が損益分岐点です」といわれても、具体的な数字がわからないとピンと来ないですよね。
そこで、具体的な数字を表にしましたので、それを使ってみていきましょう。ただし、年金には税金や社会保険がかかり、これらは年金額が多いほど高くなるので、実際は表の損益分岐点の年齢よりも、1~2歳ほど後ろにずれる可能性があります。
60歳から繰り上げ受給しても79歳までは有利
図表1を見てください(年金月額16万円のケースで作っています。年金月額20万円の人であれば、1.25倍するといったように、ご自分にあてはめて御覧ください)。
「繰り上げ」を選択した場合、たとえば60歳から年金をもらい始めると、65歳からもらい始めるよりも年金が24%(年間46万800円)減りますが、早くもらい始めている効果で79歳までは手にする年金総額は多くなります。
しかし、損益分岐点である80歳を超えると「繰り上げ」しなかった場合と比べて、毎年46万800円ずつもらう年金が少なくなります。
仮に85歳まで生きると約276万円、90歳まで生きると約507万円、もらえる金額が減ってしまうことになります。これが、「繰り上げ」した場合の具体的なリスクです。
79歳までたくさんもらえるなら、その後長生きした時のもらう金額が上記のように少なくなる、というリスクを受け止められるのかどうか、考えてみてください。