医師の理想は目薬治療だが…
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目薬では視野欠損が止まらない、症状の進行スピードが早いなど、やむを得ない場合に手術をすすめます。
医師からレーザー治療や手術をすすめられると、多くの患者さんはとまどいます。
その原因は、患者さんからすると、突然医師が手術の話をしてきたように感じるからです。
私のもとにも、セカンドオピニオンを求める患者さんがたくさんいらっしゃいます。
みなさんからお話を聞いた印象では、多くの医師は「問題ありません」もしくは「悪くなっています」の2つのワードでしか患者さんに状況を伝えないようです。つまり、診断時における患者さんへの説明が不十分なわけです。
一口に「問題ありません」と言っても、実は「ちょっと進行しているな。いまは大丈夫でも、もう少し様子を見て手術を考えるべきかも?」などと医師が先の見通しについて考えている可能性は十分あります。
一方、医師から問題ないと言われた患者は安心してしまうわけですから、次回の通院で急に手術をすすめられると、「突然、手術の話をされるなんて……」とびっくりしてしまうのも当然です。
緑内障の基本治療は目薬だが…
緑内障の基本治療は、目薬です。目薬にも副作用はあるものの、レーザー治療や手術と比較すれば、その危険性は微々たるものですので、私も含めて、ほとんどの医師はなるべく目薬での治療を継続したいと考えています。
しかし、思うように眼圧が下がらない、眼圧が極端に高い、視野欠損の進行が止まらない、進行のスピードが早い、そもそもの状態が悪い、年齢が若いので進行を抑えたい、目薬を点眼できない体質や事情がある……などの場合は、レーザー治療や手術をすすめることとなり、ケースによっては緊急的な処置が必要になることもあります。
10~20代の若い世代の人は、緑内障になると初期であってもレーザー治療や手術をすすめられることが多々あります。その理由は、若い人が緑内障になる場合は、房水の流れが先天的に悪いという原因があることが多いからです。
一般的な緑内障にはSLTが効果的
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レーザーで房水の詰まりを解消する治療が主流です。房水の新しい通り道をつくる方法もあります。
一般的な緑内障である開放隅角緑内障では、目の線維柱帯にレーザーを当てて詰まりを解消して、房水の流れをよくします。現在、主流とされているのはSLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)で、海外では目薬よりも評価が高く、今後は日本でも目薬に代わって基本治療となる可能性もあります。治療時間は5〜10分程度と負担が少なく、成功率は60〜70%とされ、2〜3年は効果が持続します。
同様のレーザー治療には、その他にアルゴンレーザーによるALT、マイクロパルスレーザーによるMLTなどがあります。
開放隅角緑内障のレーザー治療
開放隅角緑内障のレーザー治療には、毛様体光凝固術(マイクロパルス経強膜毛様体光凝固術)もあります。これはレーザーによって、房水を産生する毛様体の働きを抑える治療法です。治療時間は5〜20分程度と短く、眼圧下降効果は約5mmHgと高いものですが、炎症による痛みが出やすく、目のピント調節機能の低下などのリスクがあり、主に最終手段として用います。
閉塞隅角緑内障の場合には、眼球の虹彩にレーザーを当てて穴を開け、房水の新しい通り道をつくるLI(レーザー虹彩切開術)によって緑内障の発作を防ぎます。
図表4でご紹介しているレーザー治療は、1~3割負担の保険適用であれば、すべて1眼あたり1~3万円程度で受けることができます。