30代で永住権を取得し正規雇用

永住権取得を目指す人もいる。オーストラリアでは、永住権を取りやすい職業が明らかにされている。政府が発表しているのだ。医者や看護師、高度なスキルを要するエンジニア、会計士、シェフなどなど。実は、永住権を獲得している日本人はたくさんいる。

拙著では、日本の大学を卒業して、新卒で入社した大手家具販売会社を3年で退職、ワーホリでオーストラリアに入国後、キャリアチェンジを図った31歳の男性ITエンジニアを紹介している。ワーホリから帰国後も日本でアルバイトを続けて学費を稼ぎ、西シドニー大学大学院に入学。卒業後は、ローカルのベンチャーに入社して後、キャリアアップに挑もうとしていた。

また、日本で看護師として働いていたがワーホリでオーストラリアにやってきて、現地で専門学校に入学。学生ビザに切り替えた後に、現地の大学を2年間で卒業。正看護師の資格を取得し、現地の病院に勤務し、永住権も取得している34歳の女性も登場する。

シドニーの街を歩く人々
写真=iStock.com/LeoPatrizi
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人生を変えるマインドチェンジ

驚いたのは、現地の労働条件の素晴らしさだ。なんと有給休暇が1年に6週間もあるのだ。この間、日本に帰国して、家族と過ごしていたという。働くのは週4日。オンラインで、緩和ケアをテーマに大学院で学んでいた。当たり前の看護師の働き方だという。

その他、カフェとIT企業で働いていた元コンサルタントやオーストラリアで起業してしまった元看護師なども紹介している。

現地で取材して実感したのは、もっと多くの若者が行けばいいのに、という思いだった。みんな一様にキラキラと輝いていたからだ。日本で普通に暮らしていたのではなかなか起きることのない、大きな「マインドチェンジ」が起こせたからだろう。人生観を変えられる。生きる価値観を変えられるのだ。

もう未来にビクビクすることはなくなる。それを世界は教えてくれる。自分次第で、未来は明るいものにできる、ということも。

上阪 徹(うえさか・とおる)
ブックライター

1966年兵庫県生まれ。89年早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。雑誌や書籍、Webメディアなどで執筆やインタビューを手がける。著者に代わって本を書くブックライターとして、担当した書籍は100冊超。携わった書籍の累計売上は200万部を超える。著書に『マインド・リセット』(三笠書房)、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)、『JALの心づかい』(河出書房新社)、『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)など多数。またインタビュー集に、累計40万部を突破した『プロ論。』シリーズ(徳間書店)などがある。ブックライターを育てる「上阪徹のブックライター塾」を主宰。