30代、40代は教育費の負担や住宅ローンの返済で老後資金づくりが後回しになってしまうことが多い。定年を目前にして貯蓄ゼロだった場合はどうすればいいのか。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは「支出が減る60代以降のほうが老後資金は貯めやすい。新NISAと貯蓄を上手に組み合わせれば100歳まで長生きしても安心」という――。
「0円」と書かれたブロックを持つ人
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4人に1人が60歳時点で貯蓄ゼロ

教育費や住宅ローンの負担が大変で老後資金の準備は後回し。気が付けば定年退職が目前に迫っていた、という人も少なくありませ。PGF生命の「還暦人に関する調査(2024年)」によると、60歳時点で貯蓄が100万円以下という人は28.9%です。4人に1人が貯蓄ゼロということになります。さらに貯蓄300万円以下という人は43.6%に達します。老後資金を準備できていない人がいかに多いかがわかります。

60歳時点、貯蓄がゼロだったら「その時点でアウトでしょ?」「どうあがいても老後は真っ暗だよ!」と思うかもしれませんが、諦める必要はありません。

2024年から新NISAがスタートしました。仮に60時点で貯蓄ゼロであったとしても新NISAを上手に活用すれば、老後資金を準備することができます。まだまだ大丈夫です。具体的にどうすればいいのかをシミュレーションをしてみましょう。

教育費の負担と住宅ローンの返済で貯蓄ができない

老後資金の準備ができていない人の多くは、子どもの教育費にお金がかかった上に、住宅ローンの返済が重なり、家計に余裕がなかったことが大きな理由でしょう。では、60歳以降の家計はどうなるでしょうか。

多くの場合、子どもたちも独立して教育費からは解放され、子どもたちの生活の面倒からも解放されます。大きな責任がひとつ果たせたことになります。さらに、住宅ローンもそろそろ終わりを迎えています。その結果、生命保険においても、大きな保障が必要無くなり、保険料も下げることができます。

つまり支出をグッと減らすことができるのです。定年後に再雇用・再就職で働く場合は、それまでと比較して収入が大きく減ってしまいますが、大きな支出が減ることで、家計の収支はかなりプラスになっていくはずです。

また、大きな収入として退職金があります。これが大きな老後資金の原資です。