マンション特集
「一度は住んでみたい街」へ
●ブランズ四番町 /未来に誇れる、 日本の邸宅
●ブランズ六本木 /主張するのではなく、調和する
●ブランズ麻布狸穴町 /ブランズの到達点を描く
マンション選びのポイントの1つに挙げられるのが、「資産価値が下がらない」こと。では、どのような点に着目して、見つければいいのでしょうか。それでは不動産専門家に教えていただきましょう。
榊 淳司●さかき あつし 住宅ジャーナリスト
同志社および慶應大学卒業。四半世紀以上にわたりマンション分譲を中心とした不動産業界に関わる。2008年より人気ブログ「マンション値引き・価格・情報」を展開。著書に『年収200万円からのマイホーム戦略』『磯野家のマイホーム戦略』(共にWAVE出版)。
「このマンション、10年後にはいくらになっていますか?」
マンション購入のご相談を受けていると、よくいただく質問です。
確かに、これからマンションを買おうと考えている方にとって、購入後に生じる資産価値の変動は大きな関心事。購入予算が大きくなればなるほど、資産価値への関心が高まります。つまり、高い買い物ほど「失敗したくない」という意識が強くなるのです。
ただ、これからの時代はこの「資産価値の保全」をマンション選びのキーワードに据えて探すとなると、しっかりとした「目」が必要になります。というのは、全般的な傾向として日本の不動産の資産価値は、今後年月の経過とともに徐々に減じていくと考えられるからです。その理由は、言うまでもなく人口減少と少子高齢化。不動産を必要とする人の数が絶対的に少なくなって、しかも経済が収縮していくと、日本全体として不動産そのものに対する需要の減少は避けられません。したがって、今の時代はマンションを買っても資産価値が減少することを、ある程度留意して購入を考えましょう。しかし、注意すべきはその下がり方が地域や物件によって大きく異なること。では、その違いはどこから生じるのでしょう?
誰もが欲しくなる物件なら
資産価値の減少は小幅だ
マンションのように高額な商品であっても、その価格は基本的に「需要と供給の関係」で決まります。「需要が多い」と思われるマンションを購入しておけば、その資産価値下落のカーブは緩やか。逆に「需要の少ない」マンションを買ってしまうと、資産価値は急角度の下降線を辿ることになります。
かつてケインズは「株式投資は美人投票で当選する美女が誰かを予想すること」だと、その著書の中で語りました。資産価値の減少をなるべく軽減するマンションの購入も、これと同じだとお考えください。簡単に言ってしまうと、購入後何年か経過したときに「そのマンションを欲しいと思う人間がどれだけいるか」で、資産価値が決まるのです。
この場合、よく陥りがちな間違いは「自分が欲しいと思ったから他人もそう考えるはず」と思い込んでしまうこと。ケインズの「美人投票論」では、「自分の好きな美女」を選ぶのではなく、他の「多数の人が選ぶ美女」を当てることが投資成功のカギであるとされていました。マンション購入も同じ。他に多数の人が欲しがるマンションを選んでおけば、資産価値の減少は小幅なものにとどまるはずです。
最近あった例をあげましょう。
その相談者は大阪に自宅があります。数年前、北ヤードの好立地に自宅用のマンションを購入。そこは確かに、誰が見ても一等地です。
「いい物件を買われましたね」
まわりから賞賛され過ぎたせいか、ご本人は不動産を購入することが楽しくなってしまわれたようです。そんな折、息子さんが東京都港区に本社がある会社へ就職することに。
「子ども用に東京でもひとつ買うか。資産にもなるし……」
という感じで選ばれたのが港区内で建設中の某タワーマンション。ほぼ購入を決意されていたのですが、念のためにということで私にご相談いただきました。しかし、私がその物件を見ると……、最寄り駅はひとつで「徒歩6分」。幹線道路沿い。しかも、ご検討されていたのは8階の住戸。
この物件を10年後に中古マンションとして売り出した場合、かなりハンディキャップを背負っているはずです。まず、港区のマンションで「駅徒歩6分」は離れすぎ。幹線道路沿いは仕方がないとしても、8階住戸となると眺望があまり期待できません。にもかかわらず、割高なタワーマンションの管理費・修繕積立金を払わなければなりません。10年後、中古マンションを買おうという方が、他に多くの選択肢がある中でこのような物件に魅力を感じるとは考えにくいのです。
この相談者は派手なタワーマンションの広告を見て、自分が大阪で購入した物件のような希少性がある、と思い込んでしまったのです。結局、この方はそのマンションの購入を思いとどまり、「誰もが欲しくなる」魅力を備えた物件をお探しになっています。