人気のエリアで探せ
東京なら港区

「誰もが欲しいと思うマンション」を見つけることは、実はそれほど難しいことではありません。なぜなら、人気エリアは誰もが知っているからです。

私は、東京で年に数回「マンション選び」をテーマにしたセミナーを開催しています。そこでいつも申し上げるのは、だいたい次のようなことです。

「もし、資産価値が下がりにくいマンションを買いたいとお考えだったら、みんなが住みたがる場所で買ってください。多くの人が住みたいと考えるのは、東京の中心です。もちろん山手線の内側。できることなら、港区がいいですね。人気は23区の中でナンバーワン。港区の中でも、人気が高い青山や六本木、赤坂、麻布であれば、なおさらいいでしょう。そして、できることなら駅から徒歩3分以内にしてください。もしそれが無理なら、許容範囲は5分まで。そういった場所で、しっかりとした計画でつくられたマンションが、もっとも価格が下がりにくいのです」

もちろん、「港区以外はダメ」などと言うつもりはありません。山手線内は北側がほぼ文京区、真ん中が新宿区と千代田区、南側がだいたい港区。ただし、人気という面では「港区が頭ひとつ抜けている」といっていいでしょう。価格も、文京区と港区では平均で20%程度は違うはずです。千代田区や新宿区にも、港区の人気エリアに匹敵するスポットはあります。また、渋谷区や目黒区の一部も、かなり需要が高いことは事実。しかし、どこかひとつを選ぶのなら、間違いなく港区でしょう。

このように、東京はわりあいに分かりやすいのですが、大阪市内にはそういったブランド性を確立している場所が見当たりません。強いていうならば、なんばや梅田の近辺でしょうか。

阪神エリアの西宮、芦屋、夙川などは住宅地としてのブランド性は高いのですが、東京の港区がもっているような街の華やかさに欠けます。したがって、資産価値を重視するならやはりなんばや梅田エリアのマンション、ということになりそうです。駅からの距離は、やはり「5分以内」が基本。できれば「3分以内」が理想。その他の都市の場合は、それぞれの街のナンバーワンエリア周辺です。名古屋なら栄、京都なら四条烏丸近辺ということになります。

「誰もが欲しがる」ということは、当然価格も高くなります。例えば、85m2の新築マンションを今の相場で購入しようとする場合、港区の麻布ならほぼ1億円を超えますが、文京区の人気スポットである小石川あたりは8500万円くらいが目安でしょうか。しかし、10年後に売却しようとした場合、麻布は8500万円、小石川は6500万円前後に落ちているとすればどうでしょう? 今の中古マンションの相場を考えれば、こういった下落幅の差は十分にあり得ることです。またこれが20年後になると、さらにその差は開くと思います。


「ずっとそこに住み続ける」という目的でマンションを買うのなら、資産価格の変動はことさら気にしなくていいでしょう。しかし「いつかは売るかもしれない」、また「転勤や転職の可能性がある」ということであれば、資産価値というファクターは軽視すべきでないと思います。これからの時代、「好き、嫌い」よりも優先すべきかもしれません。