あなたの素晴らしい経験やスキルは、当社では活かせないと思いますよ?

【面接官が知りたいのはココ!】
高スペックについては、謙遜も誇示も不要だよ
なぜ当社で働きたいの? 何をしたいの?

この質問は、募集要項よりオーバースペックな人に対して出されます。

中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)
中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)

答えるべきポイントは次の3点です。

まず「自分の位置づけ」。客観的に今いる位置を把握できているかを明言してください。

次に「応募企業への入社意欲」です。なぜ当社で働きたいのか、何をやりたいのかを明確に伝えましょう。

最後に「入社後の働く覚悟」です。「こんなことまで私がやるの?」といったことがないよう、確固たる気持ちを宣言してください。たとえば、「確かに前職では、国際会計基準や連結決算など、高難度な会計にも従事しておりましたから、国内1社のみの御社で直接活かせる場面はないかもしれません。しかし、私は会社全体の数字を把握して経営層に提言していく、今回募集の職種に就きたいのです。仕事の進め方や社風などに違いがあるのは承知しております」というように話せば、3つのポイントをクリアできます。

たとえばこういう人の場合

33歳女性。大卒後2社に勤務。今回は3社目の転職で、現職と比べて規模が小さい同業の同職種(人事職)への応募。

NG!
「いえ、私はそんなに高いスキルを保有しているわけではありません」

↑ここでは謙遜さは不要。自分のポジションを把握していない表現は控えましょう。

OK!
「ご指摘の通り、私は約11年間、大手企業の人事職員として人事を一通り経験してきましたので、人事としての豊富な経験とスキルには自信があります。
2年前に課長に昇進し、今は現場担当の部下の管理と各事業部との調整が主業務となり、私が現場に行くことはなくなりました。
しかしやはり私は採用に立ち会ったり講師をしたりして現場業務に携わっていたいし、その方が自分の力を活かせると思います。
そのため、プレイングマネジャーのような、現場も管理も両方やる仕事が最適と思い、今回応募させて頂いた次第です。
この思いが実現できるなら給与が下がろうと全然かまいません。覚悟はできています」

↑前職と応募企業の職種とを比較しつつ、自分の位置づけ、入社意欲、入社後の覚悟を語ることで、高い説得力が感じられます。

中谷 充宏(なかや・みつひろ)
社会保険労務士、キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)

NTTでSE、リクルーターを務めた後、1社で採用人事を含む経営企画を担当。2004年に独立開業。社労士として埼玉、東京を中心に中小企業の労務顧問を多数担い、2社の人事部長を任される等、現場最前線で人事労務コンサルを実践、労務問題と解決策を熟知。特に「モンスター社員」対策に精通。キャリアカウンセラーとして埼玉県教育委員会や自治体が運営する就労支援機関、4つの大学のキャリアセンターでの勤務を通じ就職支援実績が豊富。日本では数少ない、応募者と採用者の両面を熟知する存在。NHK、読売新聞、マイナビ転職等マスコミ取材実績多数。著書に『面接官が本音で教える集団面接・GD完全対策マニュアル』、『20代~30代前半のための転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)等がある。