いまの社会は急ぎすぎている。スローダウンしたほうがいい
【パックン】僕らの暮らしを40年前、50年前と比べれば、いまのほうがはるかに立派ですよ。みんなが携帯という超複合的なデバイスを持ち歩いているし、テレビはすごく薄くてでかくなっているし、楽しめるコンテンツも多い。ユニクロへ行けばめちゃいい洋服を安く買える。東京には全世界の料理があって、2、3000円で食べられる。一般の人が100年前の王様より立派な生活をしていますよね。
【エミン】しています。
【パックン】でも僕らはそれで満足しない面もある。「メールはいますぐ見なきゃ」「あの番組を見なきゃ」と自分で自分を追い詰めていると思うんですよね。
【エミン】人間社会はこの50年で間違いなく良くなっている。世界的に見れば、この50年でもおそらく30億人程度が貧困から脱出している。
中国にしても人口が14億人くらいいて、経済発展によってほとんど貧困から脱出したわけです。だからいい方向には向かっているはずなんですが、一方で生物としての限界に近付きつつあって、その意味ではスローダウンすべきかもしれない。その証拠にみんな自然がいいとか言い始めているでしょ。
【パックン】僕は生活をスローダウンさせるためにも『会社四季報』は読まないです(笑)。
【エミン】情報が多すぎるからね。
【パックン】そう。もうクラクラするよ。
スタイリング=末次秀彦(パックン)衣装協力=perky room STYLIA(エミン) 構成=向山 勇
芸名パックン。1970年、米・コロラド州出身。93年、ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。福井県で英語教師を務めた後、97年、吉田眞と「パックンマックン」を結成。著書に『逆境力』(SB新書)など。
トルコ・イスタンブール出身。2004年に東京大学工学部を卒業。2006年に同大学新領域創成科学研究科修士課程を修了し、生命科学修士を取得。2006年野村證券に入社。2016年から2024年まで複眼経済塾の取締役・塾頭を務めた。2024年にレディーバードキャピタルを設立。著書に『夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方』(扶桑社)、『世界インフレ時代の経済指標』(かんき出版)、『大インフレ時代! 日本株が強い』(ビジネス社)、『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)『米中新冷戦のはざまで日本経済は必ず浮上する 令和時代に日経平均は30万円になる!』(かや書房)などがある。