これからはドルで稼ぐことを考えたほうがいい

【パックン】あります。アメリカに保有している資産からの収入だから、給料ではないけれど。

【エミン】僕は最近、ドルで稼がないとダメじゃないかと思ってきた。政府がこれだけ円安を推していたら、どんなに稼いでも為替でものすごく目減りしていくから、アメリカ株を買える量が少なくなるでしょ。

【パックン】そうですね。海外のものは何も買えなくなるから僕は実感として1ドル200円はあり得ないと思うんですよ。実感としてね。

【エミン】(笑)

【パックン】日本はめっちゃ元気な国ですよ。その元気な国がアメリカの商品を買うときに、アメリカ人の3倍ぐらいの実質賃金を突っ込まなければいけないのは、ちょっと納得がいかない。PPP(購買力)でいうと、今でさえアメリカは日本の1.5倍以上の一人当たりGDPになっている。これが僕個人の許容範囲ぎりぎりです!

いままでで一番しっくり来る計算は1ドル100円計算ですね。アメリカに行って8ドルのハンバーガーが800円ならしっくり来るけど、いまは同じ8ドルでも1200円になっているから「これはおかしいぞ」と感じるわけ。

アメリカ人もいまのアメリカの物価に納得できない。マクドナルドはフランチャイズ制なので、それぞれの店舗の店長が地域の金銭感覚に合わせて価格を決めているけど、ビッグマックセットが地域によって30ドルする。ビッグマックとポテトと飲み物のセットが4500円ですよ、1ドル150円なら。200円までいったら6000円だ。日本よりは少しサイズは大きいけど6000円はおかしいでしょ。

「アメリカ人もいまのアメリカの物価に納得できない」とパックンさん。
撮影=遠藤素子
「アメリカ人もいまのアメリカの物価に納得できない」とパックンさん。

ドル円の相場の基点が100円から150円に変わった

【エミン】ラスベガスで食べたときも30ドルぐらいだったと思う。「アンティ・アンズ」でも25ドルぐらいだったから、他のファストフード店でも同じだったけど。

【パックン】あり得ない。「アンティ・アンズ」は世界最大級のソフトプレッツェルの専門店だけど、屋台のように手渡しするスタイルで席があるわけじゃない。庭付き別室でプレッツェルならわかるけど、そんなもんで25ドルはあり得ないよね。

【エミン】そうだね。僕は円相場の基点が変わったと思っている。昔はパトリックさんが言うように、1ドル100円が1つの基点だった。100円より低ければ円高、高ければ円安と考えていたわけ。その基点がいまは150円に変わった。150円より低ければ円高、高ければ円安と考えるようになっています。

【パックン】まあ、計算しやすいし。僕の感覚では1ドル135円くらいが基点になっていると思う。140円くらいになると円安と感じるし、135円に戻るとしっくりくる。そんな意識になっている気がするけど。

でも、長期投資を考えて言うなら、為替をそこまで気にする必要はない。アメリカ株はおよそ10年で2倍になります。そのときに円が30%円高になっていたとしても、それでも投資額が170%に増えて戻る。そう考えると、「いま買っておいたほうがいいい」ということになるよね。反対に短期投資を考えるならアメリカ株の上昇率よりも円高が進むと思う人はアメリカ株はやめて、円建てで我慢する方法もあると思う。