有望な企業は売上高伸び率20%、営業利益率10%以上で探す

――これから成長しそうな企業の基準はありますか。

【エミン】過去4期の売上高の伸び率が20%ぐらいあれば成長している企業と判断しています。また、成長企業であれば、営業利益率は高いはずなのです。最終利益は出ていなくてもかまいませんが、営業利益率が10%以上あるかをチェックします。これらを満たしている企業は稼ぐ力があって、成長していると判断します。

あとは身の回りで、自分が使っていて、商品やサービスが気に入って、直観的に良さそうだなと思った企業を選ぶ方法もあります。一番危険なのは、その企業がどんな事業をしているのかもわからずに、X(旧ツイッター)などで噂になった銘柄や誰かに聞いた銘柄に投資してしまうこと。自分のわからないもの、わかりにくい企業は買わないほうがいいですね。

【パックン】ウォーレン・バフェットも「何をやっているかわからない企業は買わない」と言っていますね。「株価が上がっているから買う」という考え方もあるけど、それは投資ではなくて投機だと思うんですよ。「おっ、上がっているから乗ってみよう」という感じでしょ。株価の変動に賭けるのはギャンブルで、それも一つの方法だとは思うけど、個人的にはあまりお勧めしないです。僕は事業が魅力的だと思う企業の株を買って、10年、20年持ちたいと思っているんです。

医療、バイオ、AI分野に期待

――いまはどんな企業が魅力的だと思いますか。

【パックン】セクターで見ると、高齢化が進んでいるから、先進国はどこの国も医療費が上がっています。長期的な視点で医療やバイオテクノロジー関連は伸びると考えています。

あるいはAIも有望だと思います。ただAI自体を作っている銘柄はすでに上がっていて株価が高くなってしまっています。「二次AI関連」とでもいおうか、AIの恩恵を受けるような分野、同じ事業でもAI導入によって効率的に動きそう、商品が良くなりそう、利益率が上がりそうセクターはどこだろうと考えます。

そういうイメージを持って探すけど、僕は四季報は読まないとはいえ、投資する前には、最新の決算書をチェックしていますよ。何かまずいところはないかを確認するために。

また、セクターに連動するファンドに投資することが多いので、小さな上下があっても20年後、30年後には大丈夫だろうと思っています。個別銘柄に挑戦的な投資をするときは短期で考えます。知らない間に変なことが起きてはいけないので、買ってから10~15%上がったら手放すことが多いですね。そのお金はインデックスファンドに戻します。

――アメリカのセクター別のファンドですか。

【パックン】僕の口座で投資しているのは主にアメリカのセクターインデックスファンドです。妻は主に日経平均株価など日本全体のインデックスファンドに投資しています。

――東証にもセクター別のETFが上場されているので、それを利用するのもいいですね。ありがとうございました。

スタイリング=末次秀彦(パックン)衣装協力=perky room STYLIA(エミン) 構成=向山 勇

パトリック・ハーラン(Patrick Harlan)
お笑い芸人

芸名パックン。1970年、米・コロラド州出身。93年、ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。福井県で英語教師を務めた後、97年、吉田眞と「パックンマックン」を結成。著書に『逆境力』(SB新書)など。

エミン・ユルマズ(Emin Yurumazu)
エコノミスト

トルコ・イスタンブール出身。2004年に東京大学工学部を卒業。2006年に同大学新領域創成科学研究科修士課程を修了し、生命科学修士を取得。2006年野村證券に入社。2016年に複眼経済塾の取締役・塾頭に就任。著書に『夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方』(扶桑社)、『世界インフレ時代の経済指標』(かんき出版)、『大インフレ時代! 日本株が強い』(ビジネス社)、『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)『米中新冷戦のはざまで日本経済は必ず浮上する 令和時代に日経平均は30万円になる!』(かや書房)などがある。