弟がいる長女のほうが、年収が低くなる傾向

所得についても弟がいる長女の場合ほど、30代の年収が約2%低くなっています。このマイナスの影響は、第1子を出産したあとに拡大する傾向にありました。ちなみに、アメリカでも長女の年収を比較する研究があり、弟がいる長女ほど年収が7%ほど低くなっていました。

さらに、結婚・出産面について見ると、弟がいる長女と妹がいる長女で差は見られませんでしたが、弟がいる長女の場合ほど同棲割合が低くなる傾向がありました。

以上の結果を整理すると、妹がいる長女と比較して弟がいる長女ほど、職場の男性比率や、STEMの分野を専攻したり、働く割合が低くなっています。また、年収もやや低くなっていました。さらに、弟がいる長女のパートナーほど、男性比率のやや高い職場で働く傾向があったのです。

給料袋と現金と電卓
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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これらの結果が示すように、弟がいる長女の場合、特徴を持った学業・職業選択を行ないやすいと言えるでしょう。

このような効果の負の側面は、「ブラザーペナルティ」と呼ばれています。デンマークやアメリカにはブラザーペナルティが存在すると言えるでしょう。

なぜブラザーペナルティが生じるのか

ブラザーペナルティが発生する背景には、次の二つの要因があります。

一つ目は、「親の行動パターンの変化」です。

「長女・弟」と「長女・妹」では親の子どもへの接し方に変化が生じると考えられます。この背景には、親は自分と同じ性別の子どものほうが一緒の時間を共有しやすいといった傾向があるためです(*3)

たとえば、男の子の場合、ある程度の年齢になると野球やサッカーといったスポーツをやることが多くなりますが、このような活動は母親よりも父親とやることが多いでしょう。

また、女の子の場合、成長とともにオシャレやメイクに興味を持つようになりますが、このような活動は母親とやることが多いでしょう。

このように、「父親は男の子」と「母親は女の子」とともに過ごす時間が多くなるため、「長女・弟」の場合だと、より同性の親の影響を強く受けるようになります。子どもはこの中でさまざまな行動や考え方、社会的規範も学んでいきます。

この結果、「長女・妹」と比較して、「長女・弟」の場合ほど、より伝統的な性別役割分業意識を持つようになると考えられます。

つまり、「長女・弟」の場合ほど、「男性=仕事、女性=家事・育児」という考えを意識し、それに準じた行動をとりやすくなるわけです。