弁護士に依頼しない人が多い

こうして、妻ともしっかりした人間関係を築くことができないまま夫婦関係は悪化していき、最終的には離婚に至ってしまいますが、「内弁慶モラハラ夫」は、離婚するまでも特徴的な経緯をたどります。

まず、こういった夫はほとんど弁護士に依頼しません。プライドが高く、自分の頭の良さに自信があるため、弁護士という専門家を信用しないのです。「弁護士はぼったくりだ」「弁護士なんて頼まなくても自分でできる」と信じ込み、自分で妻の弁護士に会いに行ったり、電話をしたりします。

しかし、いざ弁護士のところに行っても、緊張してうまく話をすることができません。自分が悪者になるのは嫌なので、離婚を受け入れることはできず、だからといってプライドが邪魔をして、妻との関係を修復したくても素直に謝ることもできません。

離婚に際して弁護士に依頼しない人は少なくありませんが、それでも通常は自分の考えや意見を伝えることはできるので、話し合いは進めることができます。しかし、このタイプのモラハラ夫は、自分の考えもなく、反論も的を射たものではないので、話し合いが全く進みません。

「夫は弁が立つ」と思っているのは妻だけ

調停になっても同様なので、調停委員からは、「何か不満はあるようだけど、どうしたいのかまったくわからない」と言われてしまいます。長い書面も、何を言いたいのかがわからないので、誰も取り合いません。

最初の相談で妻が心配していた「夫はとても弁が立つ人なので、先生も言い負かされてしまうかもしれません。調停委員や裁判官も夫に説得されてしまうかも……」は全くの杞憂きゆうなのです。

これが「内弁慶モラハラ夫」の実態です。