「マコジット」騒動は一体何だったのか
眞子さんの「マコジット」(皇室離脱)は、お相手の小室圭さん登場の衝撃やロースクール留学の大騒ぎに始まり、日本中を巻き込んでそれはそれは大きな社会問題となった。
世間はとにかく小室圭さんを「胡散臭い」「不適格」と嫌った。小室さんを選んだ眞子さんを「どうかしている」とまで言った。ネットには誹謗中傷があふれ、面白がった「暗殺」との言葉までが躍った。宮内庁が眞子さまの複雑性PTSDを発表すると、心配したり行動を改めたりするどころか、「当然の報い」「国民を脅す気か」と逆ギレする者まであった。それはまだ20代の若く前途ある2人に対する、国を挙げた残酷なネットリンチだった。
フォーダム大学ロースクールを修了し、司法試験受験を前にした小室圭さんがNYの街中で撮影されたサムライ長髪姿をうっかり「試練に鍛えられていい面構えになった」とテレビで褒めた私なども、「バカコラムニスト」とネットでコテンパンに腐されたものである。負けず嫌いの私が「日本を出て活躍したいとは立派、頑張って!」とマコジットを支持するコラムを書いてはYahoo!で炎上し続けていた経験も、もはやいい思い出だ。
結婚を前にした小室さんの一時帰国の折は、空港から小室さんの実家まで報道のヘリが追いかけるほどの加熱ぶりだった。
小室さんが三度目の正直で無事に合格し、眞子さんと2人でNYに仲良く暮らす今となっては、あの挙国大騒動は何だったのだろうと感じる。あの時の日本は「皇室の品位のため」「国家の品格のため」と、なぜか平成令和に化けて出た戦前戦中の亡霊を見たかのように、狂っていた。
日本人はちょっとしたことで、いつでも挙国して狂気へと突入することができる人々なのだ。本質的なメンタルは太平洋戦争から何も変わっちゃいないのだ。
「ICUなんかに行かせたのが間違いだった」のか
私の意見は一貫している。
「その後、眞子さんが英語を公用語とすることで有名なICUに進んだ時点で、あれは明確な意思表示だったのだと受け取る事ができる。周囲は何カ国語も操る帰国子女や外国人ばかり。視野は確実に広がり、日本国内に閉じこもるのではなく世界を舞台に生きるのだと、海外志向は一種焼き付けられたも同然だ。眞子さんはそういう環境で、カナダ系インターナショナルスクールを卒業して来た小室圭さんと出会ったのだ」
「あの両親のもとで育った賢くて意志も強い長女の眞子さんは、彼女なりの確かなビジョンがなければここまで(ある意味国民を敵に回し、PTSDを負ってまで)戦わないだろうと感じた。眞子さんには、皇室を出て海外で暮らすのだという、確固たる自己イメージがあったはずだ。そういうとき、女は戦えるものだ。あの結婚と国外脱出の件で、戦っていたのは小室圭さんじゃない、眞子さんだったというのは、女たちの中では早くからピンときた者が多かった」
(「好きなだけ人生を楽しんで」NY州司法試験に合格した小室圭さんと眞子さまに贈る祝辞 プレジデントオンライン 2022年11月7日付記事)