井ノ原氏最大の失言「芸能界に向いていない人は活躍できない」

さらに、同日、井ノ原氏と同じグループV6のメンバーであった岡田准一氏が退所することが発表され、「彼とは連絡を取っている。応援したい」とコメントしていたが、そのことを連想したのか、井ノ原氏は最後にこうコメントした。

「タレントたちみんなが(中略)そういう支配の中で被害を受けたから、彼らが活躍して生き残ってきたとはやっぱり僕は思えない。本当に共に死ぬ気で頑張ってきたし、やっぱりすごい奴は本当にすごいなって思います。それは横で見ていて思います。だから生き残ってる、だから芸能界で頑張ってるんだっていうのは、(中略)誰もが実力を認めている部分が大きくあると思います。やっぱり遅かれ早かれ、そこに向いてない、他の世界ではいいかもしれないけど、その世界で向いてない人は、やっぱり長くは活躍できなかった」

「生存者バイアス」と「内向きの論理」を持ち続けている

これまでの被害者の告発では、アイドルを目指してジャニーズ事務所に入ったが、ジャニー喜多川氏に性加害をされ耐えられなくて辞めた人が多く、また辞めてから他の事務所などで活動しようとしたところ、なんらかの圧力がかかって活躍できなかったという話もあった。そんな中「芸能界に向いてない人は長くは活躍できない」と言ったのは失言だったのではないか。

図らずも最後に井ノ原氏の中にある「生存者バイアス」と「内向きの論理」が露呈した。今回、彼は自分の才覚で会見をコントロールできると思ったのかもしれないが、ネット上にも動画が残り、たくさんの人が何度も検証できる時代に、その場だけの“演出”は通じない。そんな甘さのある彼が、完全にクリーンに運営しなければならない新会社の副社長でいいのか。はなはだ疑問に感じた会見となった。

村瀬 まりも(むらせ・まりも)
ライター

1995年、出版社に入社し、アイドル誌の編集部などで働く。フリーランスになってからも別名で芸能人のインタビューを多数手がけ、アイドル・俳優の写真集なども担当している。「リアルサウンド映画部」などに寄稿。