早期に「1人○個まで」の制限を

小売業の視点、国や地方自治体の視点、消費者の視点の3点から整理したいと思います。

まず、小売業の視点からすると、供給が完全に不足する前の早期に、やはり「1人○点まで」といった制限施策を行うことが有効だと思われます。

今回の研究の中では、必要以上にかなりの量を買ってしまう人は存在するものの、その割合は必ずしも多いわけではないことがわかりました。なるべく多くの人に商品が行き渡るための施策が社会的にも求められているといえます。また、どのような商品が不足するかは、過去のデータを見ていくと予測がつきますので、今回の研究も一例ですが、こうした機会に知見を蓄積しておくことが大切だと思います。

次に、国や地方自治体の視点からすると、消費者に過度な不安感を与えないような情報提供が必要だと思われます。普段の生活で実際にどれくらいの量が必要になるか、その目安となる情報を公開していくことなども役に立つと考えられます。

自分のモノの買い方を知っておく

最後に、消費者の視点です。不安感や衝動性による購買を避ける心がけが必要ですが、そのためには日頃から自分がどのような価値観で商品を購入しているのか、自分のモノの買い方を知っておくことが大切だと思います。

また、不安になりやすい人は、ニュースなどで不安をあおる情報に過度に触れ過ぎてしまわないように意識することが必要かもしれません。特に、スマホで情報に触れる際には、ついついネガティブな情報を集め過ぎてしまう怖れもありますので、適度にとどめる心がけが必要かと思います。それ以外にも、家庭内で日頃から食品・日用品を購入している家事担当者が全体の購入量の調整を行うなど、家族の中で注意喚起していくことが有用だと考えられます。

中野 暁(なかの・さとし)
明治学院大学経済学部専任講師

博士(社会工学・筑波大学)。専門はマーケティング・リサーチ、小売マーケティング。マーケティング・リサーチ会社勤務を経て、2022年より現職。研究成果として、日本商業学会賞 IJMD優秀論文賞、日本マーケティング・サイエンス学会 若手研究者 審査員特別賞、IEEE/ACIS SNPD 2022 Best Paper Award等を受賞。