若いうちから運動を始め、信頼できる友人も見つけておく

②コミュニケーション
榊浩平(著)、川島隆太(監修)『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)
榊浩平(著)、川島隆太(監修)『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)

「社会的孤立」も、認知症のリスク要因の一つです。これはまさに今、私も30代で直面していますが、友だちが次々に結婚して家庭を持ち、話す機会がどんどん減っている。ですから30、40代のうちから、定年後もつき合えるような一生の友だちや仲間をアクティブに外に求めていくことは大切になります。

③睡眠

12のリスク要因の「うつ病」を防ぐには、よい睡眠をとることが必須です。良質の睡眠はストレスを解消し、精神の安定につながります。

睡眠に大切な観点は「量」「質」「リズム」の3つです。量については、目安は日中に眠くならないかどうか。7~8時間が目安という研究結果が多いですが、人によって異なるので日中眠くならなければ、そこまで気にする必要はありません。

睡眠の質を上げ、生活リズムを崩さないことが基本に

質に関しては、寝る前のスマホに気をつけてほしいですね。スマホのブルーライトは、私たちの脳を覚醒させ、睡眠ホルモンといわれるメラトニンの分泌を抑えるため、寝る前にブルーライトを浴びると、私たちの脳は「起きる時間」と勘違いし、睡眠の質を下げてしまいます。子どもはもちろん、大人も寝る1時間前には、スマホの使用をやめたほうがよいでしょう。

夜にベッドでスマートフォンを触る男性
写真=iStock.com/PonyWang
※写真はイメージです

毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝るリズムを作ること。特に気をつけたいのは、休日です。休日にいわゆる寝だめをして、起きる時間が遅くなることは避けたいものです。

これから寿命がどんどん延びていくなかで、大事になってくるのが健康寿命です。30歳を過ぎたら、脳が弱っていくのは変えられない。でも、なるべく機能を維持するには、よい習慣を毎日積み重ねていくしかありません。

認知症など、脳の衰えは自分だけでなく、周りの人の人生にも関わることです。楽をすることを第一に考えず、小さなことから脳を鍛える習慣をつけていきましょう。

取材・構成=池田純子

榊 浩平(さかき・こうへい)
東北大学加齢医学研究所助教

1989年千葉県生まれ。2019年東北大学大学院医学系研究科修了。博士(医学)。認知機能、対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の開発を目指した研究を行なっている。共著に『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』(青春出版社)がある。