退職金・年金・財産分与

これは調停離婚でも裁判離婚でも同様ですが、60歳で得られる退職金について、勤続年数のうち婚姻期間または同居期間――このケースの場合は勤続年数のうちで85.9%――は妻と折半することになります。この額は、すでに会社から資料をもらって試算されています。

年金についても、もともと個人に対して割り振られている国民年金の部分は除いて、大きなウェイトを占める厚生年金の部分については、勤続年数のうち婚姻期間または同居期間に関して、2008年4月1日より前の分については話し合いで決め、それ以降の分は、専業主婦で第三号被保険者である妻と折半することになります。

鮎川 潤(あゆかわ・じゅん)
関西学院大学名誉教授

1952年愛知県生まれ。東京大学文学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科後期博士課程中途退学。博士(人間科学)。専門は、逸脱行動論、社会問題、少年非行、家族問題研究。金城学院大学現代文化学部教授、関西学院大学法学部教授のほか、家庭裁判所家事調停委員などを務めた。現在は、関西学院大学名誉教授。保護司、更生保護施設評議員、学校法人評議員、少年院視察委員会委員なども務める。主な著書に、『犯罪学入門』(講談社現代新書)、『新版 少年非行 社会はどう処遇しているか』(放送大学叢書、左右社)、『新版 少年犯罪――18歳、19歳をどう扱うべきか』(平凡社新書)など。