仕事を辞めるべきか悩んだ「中学受験の壁」

「学童替わり」で通い始めた塾でしたが、当然、塾側の本来の目的は中学受験のサポート。小4の壁でもお伝えのとおり、もともとは受験する予定ではなかったものの、親子ともども、せっかく通ってきたならば、中学受験にチャレンジしてみようと思うに至りました。親も勝手なもので「どうせなら有名校に進学してほしい」などと邪な期待を描いてしまって、子供本来の能力とはかけ離れたところで志望校を決めてしまいがちです。しかも、子供は親の期待に応えようと懸命に努めてくれているのに、つい、いつもの仕事主体の生活を続けてしまっていた私。受験期が近づいてきた年末近くになって、子供のストレスがピークに達してしまったのです。塾に行っているはずの時間に全然別のところで過ごしていたり、学校生活においても、ちょっと気がかりな行動が見受けられるようになったり。この時ばかりは、仕事をしながら中学受験生の親もやるのは無理なのではないか? 受験を止めるか仕事を辞めるか、どちらか選ばなければ……と、かなり悩みました。

机の上にうつ伏せに横たわり、両親を励ます少年
写真=iStock.com/takasuu
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涙が出そうになった息子からの電話

まずは息子に「受験止めてもいいよ」と問いかけてみました。すると、「ボク、受験する」と、息子。もしかしたらこの期に及んでも親に気を遣ってくれていたのかもしれませんが、それ以上は聞きませんでした。職場にも事情を説明のうえ、「鍵っ子生活を少しでも緩和するために子供が登校するまでは家にいるようにしたい」とお願いをしたところ、上司が快く時差勤務を認めてくれたことが、とてもありがたかった。子供の思いと上司のはからい。それぞれに助けられて中学受験生の親として仕事を続けることができました。また、中学受験の始まる2月1日の週。複数校を受験することが多いですから毎回親の引率が必要です。夫と交代で休暇を取り、途中ようやく1校合格通知を受け取った時はあまりにもホッとしすぎて、その翌日くらいから私自身が発熱して臥せってしまったほど。合格した中学校は息子の志望校とは異なりましたが、「ママ~! 受かったよ」と仕事中の私に嬉しそうに電話をくれた時は涙が出そうになったことを、20年近く経った今でも鮮明に覚えています。中学受験は子供の人生にとって大きなハードルの1つとも言えます。受験する動機やきっかけは様々なれど、せっかくチャレンジしたのならば、1つでも成功体験ができるようなら嬉しい。もし、成功体験が得られなかったとしても次に向けての何かへきっと気付きになるはず。仕事をしながらでも親自身がそんな思いをもってサポートに努めていくとよいでしょう。ちなみに、我が息子の中学受験体験記、なかなかに苦労の連続でしたが、小学生の時にカリカリ勉強をする癖がついたことで、その後も何かとこの癖が奏功したようです。