モラハラ、パワハラをする人もトラウマを抱えている⁉
トラウマによって土台が不安定な状態をなんとか隠したまま、必死に仕事をしている方、あるいは、隠せずに職場で問題となってしまう方は実は少なくありません。
例えば、本記事で見たような、モラハラ、パワハラを行ってしまう、責任を回避しがち、自分の意見を表明できない、という場合は、背後にはその方が成長過程で負った不全感、トラウマが隠れていることがあります。
職場において、感情のマネジメント、適切な意思表現が継続的になされるためには、過去の不全感の影響が少なく、現在の職場が心理的にも安心安全であることが必要です。
近年、「心理的安全性」といったことが注目されることの背景には、今回の記事でご紹介したようなことも関係していると考えられます。
「ほとんどの人に複雑なPTSDがある」という前提
医師の神田橋條治氏なども「出会いの当初はすべての受診者を『複雑なPTSD』だと想定」(原田誠一編『複雑性PTSDの臨床』金剛出版)とするなど、今後の臨床心理、精神医療は、まずはトラウマがある、という見立てからスタートすることが当たり前になるかもしれません。
そして、従来のように症状を別々に捉えずに、「トラウマによるものでは?」と見立てることで、正しい理解やよりよいケアにつながることが期待されています。
大阪生まれ、大阪大学文学部卒、大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。在学時よりカウンセリングに携わる。大学院修了後、大手電機メーカー、応用社会心理学研究所、大阪心理教育センターを経て、ブリーフセラピーカウンセリング・センター(B.C.C.)を設立。トラウマ、愛着障害、吃音などのケアを専門にカウンセリングを提供している。雑誌、テレビなどメディア掲載・出演も多く、テレビドラマの制作協力(医療監修)も行なっている。著書に『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー携書)、『プロカウンセラーが教える 他人の言葉をスルーする技術』(フォレスト出版)がある。