リスク管理能力の向上にも直結

さて、2分がたちました。いかがでしたか?

仕事の数だけトラブルの種類も、その対処法も異なりますから、今回のような質問をされたとき、常に専門的なアドバイスを返すことは難しいかもしれません。

しかし、どんな仕事にも当てはまるのが、トラブル対策の基本である「ホウレンソウ」。その「ホウレンソウ」をするにあたって大切にすべき考え方やポイントは、きっとさまざまなトラブルに応用が利くはずです。

ただ単純に報告・連絡・相談をすればいいという話ではなく、どのようなポイントに気をつけながら「ホウレンソウ」をするべきか。

そこがあなたの中でしっかりと言語化されていることが、きっと相談してきた相手への有用なアドバイスにつながるはずです。さらに、そのアドバイスでトラブルが無事解決したあかつきには、「困ったときに頼れるやつだ」とあなたの評価も一気に上がることでしょう。

そしてもちろん、自分がトラブルに巻き込まれたときにも役立つのはいうまでもありません。

この「問い」に対する答えがあなたの中で言語化されていくことは、あなたのリスク管理能力の向上にも直結しますので、時間が許す限り、何度も繰り返し書き出しながら、言語化の精度を高めていきましょう。

【メンタル管理】気分が悪い本当の原因は?

さて、次の「問い」では、先ほどのリスク管理と重なる部分もある「メンタル管理」をテーマにしながら言語化力トレーニングを行ってみたいと思います。

あなたは同僚とご飯を食べています。あなたはつい愚痴をこぼしてしまいます。

あなた「最近、仕事中についイライラしちゃって」
同僚「忙しすぎるからじゃないの?」
あなた「イライラの理由が自分でもわからないんだよねぇ。何が原因なんだろう?」

さて、あなたは自分がなぜイライラしてしまうのだと思いますか? 自分が最近仕事でイライラしたできごとを思い浮かべながら、書き出してみましょう。

メモでイライラした理由を自己取材

さて、2分たちました。いかがでしたか?

荒木俊哉『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』(SBクリエイティブ)
荒木俊哉『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』(SBクリエイティブ)

誰しも必ず経験する仕事中のイライラ。だからこそ、「あ、今自分、イライラしてる」と気づいたときにどう対処すればいいのか。その原因と対処法をしっかりと言語化しておくことは大切です。

たとえば、仕事が思うように進まずにイライラしてしまうのは、ぜんぶ周囲の人のせいなのか? もしかして自分の相談の仕方が雑だったために、思うように仕事が進んでいないだけではないのか? それとも、自分の余計なプライドがイライラの原因になっていないか?

このように、過去に仕事でイライラした経験を思い浮かべ、当時の自分に対して、なぜイライラしてしまったのかを事細かく自己取材し、メモに書き出しながら言語化していく。

そうすることで、自分がイライラする本当の原因やその解決策がきっと見えてくるはずです。

荒木 俊哉(あらき・しゅんや)
電通 コピーライター

一橋大学卒業後、2005年に電通に入社。営業局を経てクリエーティブ局へ。コピーライターとしてさまざまな商品・企業・団体のブランディングに従事。これまで手掛けたプロジェクトの数は100以上、活動は5大陸20か国以上にのぼる。世界三大広告賞のうちCannes LionsとThe One Showのダブル入賞をはじめ、ACC賞、TCC新人賞、NIKKEI ADVERTISING アワード、YOMIURI ADVERTISING アワード、MAINICHI ADVERTISEMENT DESIGN アワードなど、国内外で20以上のアワードを獲得。