ITでどんな人もやりたいことができる社会に
玉城さんの会社は7割がバーチャルオフィスに出勤するリモート勤務。チームにはメンターを設け、業務やキャリアパス、私生活の相談もしやすい環境に。さらにチーム全体での情報共有も徹底している。
「業務上の情報は郵便物までテキスト化して共有。どう働きたいかが表明できる“働き方カード”に働く時間やスタイル、成長目標や家庭事情まで詳細に記録して全メンバーに公開しています。各自の働き方が尊重され、居心地がいいと好評です」
スタッフ各人には多様な事情があるもの。問題があればディスカッションし、フォローし合える体制にして2年、海外人材も含め優秀な人材が定着し、29年に設定している研究ゴールに向け、力を合わせている。
ボディシェアリング技術はまだ実験段階ではあるが、事業計画ではあと数年で産業化が進み、日常生活に浸透していく予定なのだという。
「遠くない未来、普通の人が大リーガーのホームランやプロの楽器演奏を体感できるとか、日本にいながらハワイでサーフィン体験ができる社会がやってきます。人生経験は3倍くらいに拡張し、仕事でも私生活でも選択肢が増えてやりたいことができる社会に変わるはずです。諦めることは何もないんです。やりたいことを実現する方法は必ずある。女性だからと諦めず、もっと欲張って生きてほしいですね」
H2L代表取締役/琉球大学工学部教授
1984年生まれ、沖縄県出身。琉球大学工学部卒業後、筑波大学大学院、東京大学大学院学際情報学府で研究。博士(学際情報学)。2012年、H2Lを共同創業。16年、外務省WINDS(女性の理系キャリア促進のためのイニシアティブ)大使に任命。米国ディズニー・リサーチ社、東京大学大学院総合文化研究科特別研究員、早稲田大学理工学術院准教授を経て21年4月より琉球大学工学部知能情報コース教授に就任。
撮影=荒井孝治