話し合ってわかりあえる親ならそもそも苦労していない

【アル】本当にお気の毒なんです。23歳の娘を脅して借金の保証人にするなんて、おまえの先祖は鬼か? って思います。まあ私の先祖でもあるけど。親に連絡先も住所も教えず、住民票にも閲覧制限をかけるとか、毒親から逃げる方法はあります。でも結婚して親の籍から抜けても、法的に親子の縁は切れないんですよね。

【田嶋】早く戸籍なんてものなくさないといけないね。

【アル】ただ法的に縁は切れなくても、私みたいに保証人になりさえしなければ、親の借金は相続放棄の手続きができるし、親の介護や扶養だって断ることはできる。

【田嶋】そうそう、「NO」を伝える力は大事。子どもが調べてその結果を使って明確に意思表示することで、親も嫌われるようなことは控えようって気持ちになることもあるし。

【アル】なるべく距離を置いて、相手のペースに巻き込まれないようにするとか。相手の人間性は変えられなくても、こちらが接し方を変えることで、関係性は変えられることもある。まあ何やっても変わらない毒親は多いですけど。

世間は「親子だから話し合えばわかりあえる」なんて言うけど、話し合ってわかりあえる親ならそもそも苦しんでないんですよ。私は断絶していた親子が許し合って和解する系のお涙頂戴コンテンツを「毒親ポルノ」と呼んでます。どんなにひどい親でも、子どもは「親を愛せない自分はひどい人間じゃないか」と罪悪感に苦しむんです。

【田嶋】「育ててもらった恩があるのに、親不孝者」と世間や周りからも責められるしね。私が子どもの頃は、子どもの人権なんてもっと考えてなかった。「毒親」なんて言葉もなかったし。

書くことで救われた

【アル】今は毒親に関する本や資料がたくさんありますよね。毒親育ちのコミュニティやカウンセリングもあるし、使えるものはどんどん使っていくのがおすすめです。

あと、私自身は書くことで救われました。

【田嶋】それは私も同じ。私の頃は相談に乗ってくれる人もいなければ、カウンセラーもいなかったから、自分で処理しなきゃいけなかった。自分が書いた本の一冊一冊が私を解放してくれるプロセスになったというわけ。

【アル】まさにセルフカウンセリングですね。

【田嶋】そう。10冊くらい書いてやっと整理できたって感じかな。2作目の『愛という名の支配』で自分の立つ位置が決まったというか、あの本の存在は大きいね。でもタイトルを「愛という名の支配」と「小さく小さく女になあれ」と迷いましたね。

【アル】「愛という名の支配」という言葉は「本当にそれな!」って思いました。