並んでいるのに割り込んでくる人、歩きスマホでぶつかりそうになる人、ポイ捨てする人……。マナーの悪い人に遭遇したとき、イライラを抑えるにはどうしたらいいのか。漫画家の田房永子さんは「『相手がどうしてくれたら自分は満足なのか』という視点を持つことで、イライラを引きずらなくなった。そして相手に直接抗議することもあるが、その時には3つのルールを自分に課している」という――。
頭を抱える女性
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

マナーの悪い人にイライラしてしまう

キレる私をやめたい』という漫画を出している私は、「怒りを静める方法」を伝える講座をやらせていただくことがあり、そこでこんな質問を受けることがあります。

街でマナーの悪い人に遭遇した際、すごくイライラして一言物申しそうになります。結局言わないのですが、そのあとずっとモヤモヤしてイヤです。イライラを抑えるにはどうしたらいいでしょうか。

ここで指す「マナーの悪い人」とは、狭い道ですれ違うときにこちらを避けようとせずに真っすぐ歩いてくる、電車でみんなが降りようとしているのにドアの前に仁王立ちで動かない、歩きスマホで人にぶつかりそうになる、喫煙所じゃないところでの喫煙、列に割り込む、ポイ捨て、などをする人です。

そこで今回は、私が心がけている「マナーの悪い人に遭遇した際のイライラを抑える方法」をご紹介します。

「普通はこうするものなのに」がイライラを加速させる

みんなが守っていることを守らず秩序を乱す人に出くわした時、「どうしてこの人はこんなことをするんだ」という疑問が浮かびがちです。その疑問の軸には「こういう時は普通こうするものなのに」という「常識」があります。

しかしこの疑問は、イライラを加速させる悪玉です。だって考えても絶対に解けないし、すでに相手への敵意と見下しが発生しているので平和な答えは出にくい。考えれば考えるほど「相手が悪で自分は善」という構図が強化され「よし、言ってやろう」につながります。

この状態で「ひとこと言ってやる」を実行すると、その疑問をまんまぶつける形になり、「あなたは非常識だ」というメッセージがこもりまくってしまいます。すると相手が逆ギレしてきて収集がつかなくなったりします。

街でケンカになってる人たちの言葉を聞いてみると、たいていこのテイストで相手を責め合っています。

まあ、人間同士、そういう日もありましょう。

しかし私は絶対にケンカしたくない。けんか腰で物申した時点で「同じ穴のムジナ」って感じがするし、駅でキレ合っちゃったりしたら勝手に撮影されてYouTubeにアップされたりする時代だし。何より、嫌な気持ちを家に持ち帰りたくない。

そのために、マナーの悪い人に遭遇して「なんだこの人、非常識だな」と思ったら、途中から「この人がどうしてくれたら自分は満足できるのか」という疑問に変えるようにしています。