レベルの高い文章を自動で作成し、検索にも使えるChatGPT。慶應義塾大学のビジネススクールで教壇に立つ清水勝彦教授は「文章作成・校正に限ればChatGPTの実力とコスパはすさまじい。しかし、何かを質問をすると『わかりません』とは言わず、ソースも示さずに間違った情報を出してくることも。指示待ちに慣れて判断力を失いつつある人々は注意が必要だ」と警告する――。
chatGPTを使用しているイメージ
写真=iStock.com/Galeanu Mihai
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Google社では緊急事態宣言が出たほどのインパクト

これほど大きな話題に、しかも短期間でなるとはだれもが想像していなかったと思うのが生成AIの代表ChatGPTである。アルファベット(つまりグーグル)が世界シェアの8割を占めるといわれた検索市場、結果としての広告市場の競争がマイクロソフトやイーロン・マスク氏を巻き込んで大変なことになりそうで、アルファベット内では「コードレッド」つまり緊急事態宣言が経営陣の中で出されたとウォールストリートジャーナルは報じている。さらには、私たちの生活も大きく影響されそうである。世界中を大きく変えたスマホになぞらえて「検索業界のiPhone」と言われるほどである。

ここでは特に大学の教員という立場を中心に全くの個人的な意見を述べたい。

宿題のレポートもChatGPTで書けてしまう

まず、最初は「学生にアサイメントを出してもChatGPTでやってしまうので、これまでの教え方が通用しなくなってしまうのでは」問題。つまり、宿題の意味がなくなってしまうのではないかという懸念である。それはもっともだと思われる。

ちまたにはChatGPTを使って宿題をしたかどうかを判定するソフトウエアも開発されつつあるという。確かにChatGPTを使って、さすがにそのままでは出さないかもしれないが(実際は結構大胆というか考えてなくてそのまま出す学生も多数いると想定される)、原案を出したものをちょこちょこっと修正するだけで相当レベルの高い回答が用意できることはさまざまなところで指摘されている。そうなれば学習効果はないだけでなく、理解や努力、習熟度を正確に測ることもできず、採点や成績は何のためにあるのだという話になる。その通りである。

実はこの点は個人的にはあまり心配していない。「自分は見抜ける」という自信があるからではない(ただ、過去の経験で言えば、アメリカ時代に100人ほどの学生のレポートの中からカンニング的に作られたレポートを2度見つけたことはあるし、それくらいは多くの経験のある教員にはできると思う)。