「夫婦とは家族とはこうあるべき」という思いのズレ

そして家族での過ごし方や両親の関係は「家族」「夫婦」のイメージのベースとなっています。気づかないうちに自分も親と同じように振舞っている人も、逆に親のようになりたくない、と抵抗する人もいます。それぞれが抱く「夫婦、家族としてこうありたい」「こうあるべきだろう」というイメージのずれは、夫婦仲を悪くする原因となり得るのです。生い立ちを比較してみると、「こんなに違うのか」と驚く夫婦は少なくありません。思い描いている夫婦像、家族像が違えば、相手に求めるものも違ってくるわけですから、そこから不満が生じるのも当然と言えます。ここに子育てに関する考え方が入ると、ずれはさらに大きくなります。

夫の前では親のことを悪く言えない妻も多い

漫画:水谷さるころ、監修・コラム:山脇由貴子『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!』(幻冬舎)
漫画:水谷さるころ、監修・コラム:山脇由貴子『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!』(幻冬舎)

勢いでなく慎重に考えて結婚した場合でも、互いの生い立ちをじっくり話し合った、という夫婦は決して多くありません。親との関係を話した、という夫婦はさらに少ないのではないでしょうか。女性だと、母親との関係が悪かった、父が怖かったなどの思いを抱えていても、「親のことを悪く言うなんて性格が悪い女と思われそうで、夫には言えなかった」という方が非常に多いです。

自分自身の生い立ちを知ることは自己理解につながり、夫婦が互いの生い立ちを理解することは、日々の感じ方や傷つき方への理解を深めます。すると、配慮しなければならないポイントも見えてきます。だからこそ、生い立ちを聞くことが重要なのです。

水谷 さるころ(みずたに・さるころ)
漫画家

1976年、千葉県生まれ。イラストレーター、マンガ家、グラフィックデザイナー。女子美術短期大学卒業後、マンガ家デビュー。2008年、旅チャンネルの番組「行くぞ!30日間世界一周」に出演。その道中を漫画化し人気シリーズに。36歳で再婚(事実婚)し、38歳で出産。コミックエッセイに『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』など。

山脇 由貴子(やまわき・ゆきこ)
家族問題カウンセラー

1969年、東京都生まれ。横浜市立大学心理学専攻。大学卒業後、東京都に心理職として入都。児童相談所に19年間勤務。現在は家族問題のカウンセラーとして活動。著書に『告発 児童相談所が子供を殺す』『夫のLINEはなぜ不愉快なのか』などがある。