在宅ワークで飲酒トラブルの相談が増えている
コロナ禍でリモートワークが広がり、お酒が好きな人は、早い時間から夜遅くまで、好きな時に家で飲めるようになりました。そのためか、適量を超えて飲んでしまうことが増え、「飲むと人が変わり、暴言を吐いたり暴力をふるったりする」という家族に悩んで疲れ果てて私のところに相談に来るというケースが最近特に増えています。また、リモートワークの残業時間中に、飲酒をしながら仕事をしている社員がいて、ほかの人とのトラブルになって困っているといった、今までになかったような相談も出てきています。
夕方早くから飲み始めて、食事でさらに酒が進む。酔っぱらってだんだん目が座ってきて、スイッチが入ってしまい、家族に向かって「お前はダメな人間だ」「子どものしつけがなっていない」などとなじり始める。ささいなことでキレて怒り出し、暴言を吐いたりモノを壊したり、暴力をふるったりすることもあります。そもそもお酒には、気を大きくする作用があるので、飲むと万能感が生まれ、理性が働かなくなってしまうのです。
酔っている人には何を言っても届かない
飲んでキレてしまう、暴言を吐いたり暴力をふるってしまう家族に、周りはつい「迷惑だからやめて」「飲み過ぎだから、もうお酒はやめて」と言いたくなりますが、本人の耳にはまったく届きません。もともと人は自分の行動を制限されたり、コントロールされたりするとイヤになりますから、お酒でタガが外れている人にこうした苦言を呈しても、火に油を注ぐばかりで、さらなるトラブルに発展してしまいます。危険なNG対応だと言えるでしょう。
また、家族がこうした問題行動を起こすと、「私が何とかしなくては」と頑張ってしまう人も多いですが、それもやめた方がいいでしょう。
例えば、二日酔いがひどくて会社を休むときに、本人の代わりに家族が会社に連絡を入れる、といったことです。これは本人がやるべきです。自分が招いたことですから、自分で責任を取らなくてはなりません。お酒の失敗の後始末は自分でしないと、ますます「お酒を飲み過ぎる」ということに対して抑制が利かなくなります。
また、「家にお酒がないと怒ってケンカになるから」と、家族が準備しておくのもよくありません。これではいつまでたっても飲む量は減りません。
飲酒の問題に限りませんが、やはり家族であっても、それが相手の問題なのか、自分の問題なのか、その境界線はしっかり引いておかなければ、相手に振り回されて共倒れになりかねません。