年をとったら、もっと遊ぼう
もう1つ指摘したいことがあります。それは、高齢になると、「健康のために遊ぶ」「健康のためにお金を使う」ことも大きな意味を持ってくる、ということです。
日本では、高齢者は地味に暮らすのが当然だと思われていますから、「年金でカラオケに行くのはいかがなものか」「年金生活者がパチンコに行くとはけしからん」などといった非難を浴びがちです。
しかし家の外に出て遊ぶことで、前頭葉が刺激されます。また、楽しむことで免疫機能にもよい影響を与えることができます。ですから、むしろ「お年寄りはもっと遊べ」と言うべきでしょう。
感情の老化を予防するには、年をとるほど強い刺激が必要です。脳の老化によって弱い刺激には反応しにくくなることに加えて、積み重ねた人生経験から多少のことでは心に響かなくなるからです。
お金を使ってよい刺激を受ける
仕事などで経験を積んだおかげで先が読めるから、ものごとをそつなくこなしてしまいます。失敗することがなくなるのはいいのですが、面白さは薄れてしまいます。
「先が読めてしまう」と、刺激が失せるだけでなく、興味や関心までも色褪せるわけです。それだけに、いままで以上に、意識して強い刺激を与えてくれる遊びをしたほうがいいのです。
資本主義社会とは、「お客様は神様です」の社会です。お金を使うことによって、よりよいサービスが受けられます。それに、社会の第一線から退いたと感じている高齢者は、お金を使うことで自己愛が満たされることでしょう。
お年寄りの多くがお金を使って遊ぶと、これまで少なかった高齢者向けのビジネスも盛んになるでしょう。高齢者がしっかり遊んでくれたほうが、消費が拡大し、経済が回ります。国内の景気のためにもいいのです。
「生涯現役」とは、高齢になっても働き続けるという意味だけでなく、「生涯現役の消費者である」という意味も含まれているのです。