「成長投資枠」にだまされるな

つみたてNISAでは、「長期投資に向いた運用商品」を選んだと金融庁は説明していますが、はっきり言って、長期投資に向かない商品は、短期投資にも超長期投資でもダメなのです。

つまり、つみたて部分の適格対象にならないような商品には目を向ける必要がありません。「成長投資枠」という言葉に惑わされない方がいいでしょう。

また、仮に複数の運用商品を組み合わせた場合に、全世界株式のインデックスファンド一本よりも良いリスク・リターンの特性の運用ができる可能性はありますが、その差は微差のはずですし、「良い組み合わせ」を確実にアドバイスする十分な能力が金融機関にはありません。

投資対象商品を一本に絞ると管理が簡単になることも、個人が資産運用を実践する上では大きなメリットです。いわゆる「リバランス」が不要ですし、部分的に換金したい場合にどの商品を売るかで迷うこともありません。

「成長投資枠でもつみたて枠と同じベストな商品に投資する」、もっと言うなら「全体で、全世界株のインデックス投信一本のみに投資すると決めておく」ことが新しいNISAをうまく利用するための2番目の原則です。

2つの原則を活用して、読者が効率的な資産形成を実現することを期待しています。

山崎 元(やまさき・はじめ)
経済評論家

専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表取締役。1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。以降、野村投信ほか12回の転職を経て、現職。『山崎先生、将来、お金に困らない方法を教えてください!』(プレジデント社)など著書多数。