用意周到だった父

私自身の経験をお話しすると、父は会社経営者だったこともあり、準備は周到。上記の(1)は風呂敷にまとめて包んでありました。(2)は父と母のものを別々に分けて一覧にしてあり、これも助かりました。

また、いざ入院のときも、父の引き出しを開けると「長そで下着」「半そで下着」「ズボン下」と書いてあるA4の紙が置いてある。その下に、それらのアイテムがしまってあって、びっくりしました。だから父の入院準備は、あっという間にできました。

病院のベッドに横たわる男性
写真=iStock.com/gorodenkoff
※写真はイメージです

一方、少し認知症の進んでいた母の準備が大変で。母は父の病院とは別の施設に入ることになりましたが、準備をしようとすると、靴下が家のあちこちから出てきたり、同じような紺色のズボンが何本も出てきたり、どこに何があるかわからなくて、荷物をまとめるのにひと苦労でした。

親が高齢になると入院も身近になり、その準備も子どもがするわけですから、子ども自身がどこに何があるか把握しておくことが、つくづく大切だと身を持って感じました。

より親が暮らしやすい3つの工夫

もしも年末年始に、あまり時間が取れないなら、親のためにこれだけはしておいてあげたらよい、ということを最後に3つほどご紹介しましょう。

(1)重い物にキャスターをつける

備蓄のペットボトルや灯油のタンクなど、重い物は台に置いて、キャスターをつけてあげましょう。移動が格段に楽になります。

(2)大切な物の定位置をつくる

一つのカゴに薬や眼鏡を入れて、これがあれば1日過ごせるというものをひとまとめにしておくと、親は安心します。

(3)必要な物をそれが必要な場所に置く

たとえばモップやほうき、ちりとりなど掃除道具は、まとめて取りやすい場所に置いておく。吊り下げおくと便利です。

親の家の場合、しまいこむと取り出すのが面倒になるので“映え”は狙わない。映えよりも使いやすさを優先させましょう。

これらは年末年始の大掃除のついでに、やってしまうとよいでしょう。