〈怒られたくないためにうそをつく場合〉

×なんでそんなうそをついたの⁉
 うそつきはどろぼうの始まりだって言ったでしょ!
×うそをついたことで、家族みんなが困ったのよ。どうするの!
×あなたはいつも、「やる、やる」って言って、結局やらないじゃないの。


○親「どうして、こんなうそをついたの? ○○ちゃんはそんな子じゃないのに。どうしたの?」
子「うそついちゃいけないと思っていたけれど、本当のことを言うとママに怒られると思って」
親「正直に言ってくれてありがとう。まず今、本当のことを言えたことが素晴らしいと思うよ」
子「ママをがっかりさせたくなくて、うそをついちゃった」
親「お母さんもうそをついてしまうことがある。そこで反省することもあるよ」
子「うそをついてごめんなさい」
親「自分から謝れることも素晴らしいね。お母さんは○○ちゃんのこと信じているから、これからうそはつかないでほしい。お願いできる?」
子「うん。わかった」

子どもを無条件に信頼する

「どうしたの?」を使うためには、日頃から子どもを無条件に信頼することを意識します。

庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)
庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)

この無条件にってことが大事です。何かができているから信頼するのではないのです。

「あなたのことを信じている」
「この子なら、どんな失敗をしても、その出来事を経験として成長していける」

そう無条件に思い込みましょう。

思い込みの力は素晴らしいです。私は毎回自分の担当するクラス、自分の職場を最高だと思い込むようにしています。

私は教員生活が長いので、ちょっと問題のあるクラスを受けもつことも多いです。

4月当初は課題山積で引き継ぎますが、無条件に、

「このクラスは素晴らしい」
「このクラスの子、一人ひとりは素晴らしい」

と思い込んで接するようにしています。

すると、本当に素晴らしくなります。

ならないとしたら、4月に思っていたことが継続できなくなっているときでしょうか。

そんなときは「素晴らしい。素晴らしい」と心の中でつぶやくようにしています。

心の中でつぶやきマインドを整える

イラッとする前に、イラッとしないマインドに整える。

この記事を読んでいるとき、きっとイラッとしていないはずです。

もしイラッとしそうなときは目をつぶって、我が子の顔をイメージして、

「この子は素晴らしい」
「この子はどんなことがあっても成長できる」
「いろいろな失敗をして、いろいろ経験してほしい」

と心の中でつぶやいてください。

あなたの表情が優しくなっているはずです。

庄子 寛之(しょうじ・ひろゆき)
東京都公立小学校指導教諭

大学院で臨床心理学科を修了。道徳教育や人を動かす心理を専門とする。学級担任をするかたわら、「先生の先生」として全国各地で講演を行っている。最近では、教育関係者だけでなく、企業や保護者向けにも講演。担任した児童は500人以上、講師として直接指導した教育関係者は2000人以上にのぼる。元女子ラクロス日本代表監督の顔も持ち、2013年、U-21日本代表監督としてアジア大会優勝、2019年、U-19日本代表監督として日本ラクロス史上トップタイの世界大会5位入賞を果たす。著書に『叱らない技術』『withコロナ時代の授業のあり方』(ともに明治図書出版)、『オンライン学級あそび』(学陽書房)など著書多数。