ジェンダー平等の観点から見て、トイレの「男性用=青、女性用=赤」という男女別標識は時代遅れなのか。いっそ男女別をやめて、どんな性別の人も利用できるオールジェンダートイレに置き換えるべきなのか。議論が活発化しているトイレ問題について、大妻女子大学准教授の田中俊之さんに聞いた――。
青一色で描かれたトイレのピクトグラム
写真=iStock.com/baona
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標識はわかりやすさを最優先に

近年、公共の場にあるトイレの標識について「男性用は青、女性用は赤」と分けるのをやめてはどうかという議論が出ています。性別に対する色の決めつけになる、トランスジェンダーの人への配慮が足りないのではといった意見があるほか、標識だけでなく公共のトイレすべてをどんな性別の人も利用できるオールジェンダートイレにしてはどうかという声もあります。

正解を見つけるのが難しい問題ではありますが、まずはトイレを男女別に分けることが「必要な区別」だとした場合から考えてみます。この場合、僕は標識の色分けは必要だろうと思います。男性用が青、女性用が赤である必要はありませんが、違う色だとはっきりわかる形にしたほうがいいでしょう。

似た色だと間違えて入ってしまう可能性が高くなり、不快感につながりやすくなるからです。特に公共のトイレは不特定多数の人が使うものなので、標識はわかりやすさを最優先にしてほしいものです。トイレを男女別に分けることを許容していくのであれば、標識は色で明示的に示したほうがいいと思います。

では、トイレを男女別に分けることを「不必要な区別」だとした場合はどうでしょうか。この場合は、現在ある男女別トイレを「だれでもトイレ」のようなオールジェンダートイレに統合していく方向が考えられます。こうすれば標識の問題も解決します。