世界的に見ても日本の国会には若手議員が非常に少なく、高齢の男性が圧倒的多数を占めている。この状況を変えようと活動しているのが、NO YOUTH NO JAPANノーユースノージャパン代表理事の能條桃子さん(24)だ。能條さんは「本来地方議員が担うべき、地域で若者や女性の困りごとを聞いてくれる人がいないのは問題。まずは地方で若い政治家を増やさなくては」という――。
NO YOUTH NO JAPAN代表理事の能條桃子さん
写真=大門小百合
NO YOUTH NO JAPAN代表理事の能條桃子さん

タイム誌の「次世代の100人」に選出

2022年9月28日、米タイム誌が「次世代の100人(Time 100 Next)」を発表した。タイム誌が選んだ、文化、スポーツ、政治、科学などの各分野で「未来を切り拓き、次世代のリーダーシップを定義する世界の新しいリーダー100人」だ。

その中に、日本を拠点に活動する若者が選ばれた。低迷する若者の投票率を上げるための活動を続けるNO YOUTH NO JAPAN代表理事の能條桃子さん(24)だ。能條さんは2021年に、森喜朗元首相の女性蔑視発言に抗議する署名活動の発起人の1人となり、15万筆の署名を集めたことでも注目を集めた。

今回、日本人でこの100人のリストに選出されたのは、能條さんと、ロンドンを拠点に活動する音楽アーティストのリナ・サワヤマさんの2人だけ。能條さんのジェンダー平等への取り組みや、若者の投票率を上げるための活動が評価されたという。

選出について能條さんに聞くと「ありがたいと思う反面、なんだか恐れ多いなと思います。これまでも海外メディアからは、森喜朗元首相の発言に抗議する署名活動をしていた時に、たくさん取材を受けましたが、それはジェンダー平等がテーマでした。ですから、若者の政治参加に関する活動についても評価してくれたのは、結構びっくりしました」と、照れながら答えてくれた。

候補者が若くても周りは高齢者ばかり

現在、慶応大学大学院生の能條さんが、初めて政治との接点を持ったのは、2017年10月の衆議院選挙。大学2年生だった能條さんは、選挙事務所でインターンを行った。それまで、Webマーケティングのベンチャー企業でインターンをした経験があり、「政治の世界でもSNSやマーケティングを活用できるのではないか」と興味を持ったことがきっかけだった。2週間の選挙期間中、ツイッターやインスタグラムの更新を担当したり、学生メンバーと政治の話をしたりと、活動はとても楽しかったという。

一方、選挙期間中、問題意識も芽生えた。街頭演説では、高齢の人たちは聞いてくれるが、若い人はほとんど足を止めない。ビラを配っても、受け取ってくれる人は少なかった。

「それに、候補者が34歳だったのに、周りにいる人は60代や70代の人ばかりだったんです。若い人が選挙に出ても、周りで支えている人たち、話を聞いてくれる人たちの感覚に合わせて話をしなければならない。そうしているうちに、年齢が高い人たちだけのために政治をするようになってしまうのではないかと思いました」という。「しかも、若者の投票率が低いので、事務所の会議でも『いったん若い人の票は忘れよう』という展開になっていました」