条件4:年収とポジションに見合うスーツの価格

キャリアを重ねると収入も上がり、出かける先やシーンも若い頃とは変わってきます。そんなときに、新入社員の頃と同じ素材、同じ価格帯のものを着ていると、ちぐはぐに見えてしまうもの。ご自分のキャリアと洋服のプライスのバランスは、見た目や印象にも影響するのだとぜひ知ってもらいたいですね。

「2万円のスーツではダメですか?」と尋ねられることもありますが、やはり、ご自身のポジションと年収に見合ったものを選ぶことが大切です。

年収とポジションはイコールであることがほとんど。例えば、給料が月額50万円だったらその20%の10万円前後のスーツがいいでしょう。

インナーはさらにスーツの価格の20%から30%で、2万円前後。靴やバッグはスーツの50%で5万円と考えるなど、目安を知っておくこといいでしょう。

キャリア女性が知っておきたい、各アイテムの適正価格
・スーツ=自身の月収の20%
・インナー=スーツ価格の20〜30%
・靴&バッグ=スーツの50%

月収に見合った価格のものを選ぶだけで、相手に与える印象もポジションに合ったものになります。高ければ高いほどいいというわけではありませんし、また、価格のバランスが合っていたとしても、必要以上に持つこともありません。セットアップでしか着られないようなスーツではなく、上下それぞれを単品で着回せるものをチョイスしていくと、限られた数でもいろんな印象に変化させられるので、手持ちが少なくて困ることはありません。

条件5:スーツは名刺代わり。服装T.P.O.を考える

コロナ禍により、在宅と出社が混在する働き方に変化しました。そんな時代なら「もうスーツは必要ないわ」という方もいらっしゃるかもしれません。でも、ポジションが上がるほど女性もスーツやジャケットを着用される方がほとんど。それに人と対面で会うことが貴重になった時代だからこそ、直接会うときこそきちんとした服装で会いたいと思う人も多いはずです。「今日この時間を大切にしたい」からこそ、自分らしい、そして相手からも「すてき」と感じてもらえるような、気持ちのいい印象を与えることが大切ではないでしょうか。

大人のためのきちんとしたブランドのジャケットやスカート、パンツは、大人女性の体をいかにキレイに見せるかが計算し尽くされています。体が入ったときのサイズ感やシルエットがきちんと考えられています。そうしたブランドで自分に合ったサイズのものを選ぶだけで、見た目の印象はグンと変わります。これからのキャリア女性は、仕事と同様に、1つのスーツを「どうしたらかっこよく着こなせるか」と考えることも必要ではないでしょうか。例えば、上下対で着るにはどんなシーンがあるのか、少しラフにするには何を合わせるのかを考えてみるだけで、コーディネートの幅が広がり、おしゃれに見せるヒントが見つかるのです。

着回し力抜群! エレガントにもカジュアルにも。コラボジャケット[PW]
撮影=水田 学(NOSTY)
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ビジネス用のスーツだから、ビジネスでしか着ないのはもったいない。上下を変えるだけ、インナーを変えるだけ、小物を変えるだけスポーティーにも、もっとエレガントにもなるのです。これからの管理職には、そうした工夫も必要な気がします。

これまで、男性に負けないようにとバリバリ働くことがキャリア女性のイメージでしたが、今の時代に求められる女性管理職像は変化しています。後に続く女性たちに「長く働くことって楽しそう」「あんなにすてきなのに仕事ができる、おしゃれも楽しんでいる」と憧れの対象になることも期待されるでしょう。

おしゃれというのは、そのシーンに合った服装&ポジションに合ったものだと私は思います。よく「服装T.P.O.」といわれますが、ビジネスでも、そのシーンに合った服装をしている人が伝える言葉は、やはり重みがあるものです。

そういった意味でも、ファッションをうまく活用してほしいのです。スカートもパンツも選べるのは女性の特権であり、それは印象コントロールにおいては強みでもあるのです。