マウンティングによる「傷つき」を軽減するために
女性同士のマウンティングは、3つのカテゴリーに分けられ、三すくみの状態にあることから、マウンティングが繰り返されてしまう可能性が考えられました。
ここで先ほど挙げた、マウンティングの定義をもう一度みてみると、マウンティングは被害者の受け取り方によって左右されることが分かります。そのため、同じエピソードでも、マウンティングだと感じる女性もいれば、マウンティングではないと感じる女性もいると考えられます。そこで今後は、女性たちにさまざまなマウンティングのエピソードを見せ、それらについてどの程度不快に思うか調査することを予定しています。
この調査を通して、多くの女性がマウンティングであると感じるものと、少数の女性がマウンティングであると感じるものを明らかにしようと考えています。これにより、マウンティングに敏感な女性の特徴を明らかにすることができるのではないかと期待しています。
マウンティングの受け取り方はさらに、マウンティングによる「傷つき」にも影響を与えると考えられます。マウンティングによって不快な気持ちになったとしても、マウンティングの受け取り方が異なる周りの女性からは共感を得られず、ダメージが癒やされず、不快な気持ちをひとりで我慢しなければならないかもしれません。こうした、マウンティングによるダメージは、一つひとつは小さくとも、日常生活の中で繰り返され積み重なることで、心身の健康を損ねる可能性が高くなると考えられます。
これらを踏まえて今後は、マウンティングを受けた女性の傷つきを軽減できるような研究を行うことも予定しています。マウンティングによるダメージに適切に対処し、自分を癒やしてあげられることができれば、より健やかに日々の生活を送ることができるのではないかと期待しています。
1996年生まれ。2018年3月奈良女子大学文学部人間科学科心理学コース卒業。2020年3月お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科人間発達科学専攻発達臨床心理学コース博士前期課程卒業、修士号(人文科学)取得。2020年4月お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科人間発達科学専攻発達臨床心理学講座博士後期課程入学、現在在籍中。大学の相談センターや都内心療内科でカウンセリングを行いながら、女性のあいだでマウンティングが発生するメカニズムや、その解消法について研究を行っている。