マウンティングの3分類
1つは「伝統的な女性としての地位・能力を誇示する」というもので、家事や育児など家庭の役割に関連しています。例えば、飲み会でおしゃれをする女性たちに「今日は気合入ってますね」と別のおしゃれをしていない女性が言うといったものです。
2つ目は、「人間としての地位・能力を誇示する」というもので、仕事や学歴など社会の中での役割に関連しています。例えば、子どものお迎えを親に頼んでいる子持ちの女性社員に対し、別の子持ち女性社員が「やっぱり実家近いの超得だよね~」と自分が実家を頼らず子育てをして苦労していることを暗にアピールする、といったもの。また、主婦の女性に対して「主婦なんて中卒でもなれる」と言う、などが該当します。
3つ目は「女性としての性的魅力を誇示する」というもので、美しさやファッションセンスなど性的な魅力に関連しています。例えば、男性によく声をかけられるという女性が「軽く見られてるのかな~」と、別のあまり男性から声をかけられない女性に言うといったものです。
“三すくみ”のため繰り返されてしまう
これら3つのカテゴリーは、ある部分では相手に勝てるものの、ある部分では負けるという、三すくみの状態にあると考えられます。例えば、自分が相手の女性よりも仕事で高い評価を得ていない場合「人間としての地位・能力を誇示する」という部分では負けてしまいますが、自分は結婚しているが相手が独身の場合、「伝統的な女性としての地位・能力を誇示する」という部分では勝てることになります。そのため、どちらが上か下かを決定することが難しく、女性たちのあいだではマウンティングが繰り返されてしまうのではないかと考えました。
こうした三すくみの状態は、それぞれのカテゴリーが連動しない状態にあるために発生している可能性があります。
例えば、家庭的な専業主婦であると同時に、バリバリと仕事をこなすことはできないし、1人でも生きていけるほど稼ぎながら、女性としての性的魅力をアピールして男性の稼ぎを頼って生きていくことはできません。
一方で、男性の場合は、こうした矛盾はあまりみられないと考えます。例えば、仕事でいい結果を出しながら、健康的な肉体を手にし、家庭を持つというように、全てのカテゴリーで優れた状態になることは可能です。そのため、男性のあいだでみられるマウンティングはシンプルなものになり、すぐに勝負がつくか、あるいはマウンティングそのものが起こりにくいのではないでしょうか。こうしたことから、男性同士よりも女性同士におけるマウンティングは多くなるのではないかと考えています。