母になるメリット

現代では、より多くの女性が教育や有給の仕事を得ることができ、恋愛関係を築くかどうかや、恋愛対象を誰にするかを決める能力が高まっているため、女性は、自分のライフストーリーを紡ぐことができる個人と見なされることが多くなっている──まるで私たちが自立した立場で、賢い消費者のように多数の選択肢から自由に選んでいるかのように。

そんな空気のなかで、私たちは、母になることが完全に女性の望みであり、女性がそう望むのは、自分の肉体や人格や全人生を、以前よりも好ましい新たな方法で体験したいからなのだと推測する。次に挙げるのは、母になるメリットとして、社会が女性に約束していることの一部である。

・母になることで、正当化された価値ある存在へと導かれ、必要性と生命力が確証された立場になれる。
・母になることは、あらゆる意味でその人が女性であることを本人に確信させ、世界に知らしめる──生命を創造することによって自然界に借りを返すだけではなく、生命を保護し育成する道徳的な人物として。
・母になることは、自分の母と祖母、太古の昔に出産した女性たちへと、世代の連鎖をつなげる。脈々と続いてきた伝統に対する忠誠心を物理的に具現化し、今度はそれを将来の世代に伝える立場になることができる。
・母になると、何かを所有する権利が認められ、これまで文化によって否認されていた特権を取り戻すことができる。世界の支配力に服従するだけではなく、子どもに対する権限を持つようになる。
・母になると、実家を離れて自分の家族を築くことになるため、女性として成熟する方向へと切り替わる。忘れていた子ども時代を思い出して、自分だけの遊び場のように、そのなかを思い切り駆け回ることができるようになる。
・母になると、パートナー(もしいれば)と、子どもを通じて親密な同盟関係を結ぶことができる。
・母になると、何かに献身し、苦しみに耐え、要求を満たし、見返りを期待することなく利他的な優しさを示すことができるようになる。そのことが孤独を取り除き、自尊心と充足感、無条件の愛、進化するための居場所を与えてくれる。
・新しい家族を形成するなかで、母になることが、過去の怠慢、貧困、人種差別、嘲笑、孤独、暴力の記憶を破り捨てることを可能にし、以前の現実を置き去りにすることによって、新しい避難所が与えられる。
・母になることを通じて、より良い未来についての無限の可能性を想像することができる。加齢や継続性が尊重され、目的のない現在からの脱出が保証されるからである。
シンプルな子供部屋
写真=iStock.com/onurdongel
※写真はイメージです