国民の共感を集める王室

悩みも葛藤もオープンにするからこそ、オランダ王室は国民の共感を集める。その等身大の姿は、国民が自分たちを投影する象徴そのものである。

翻って、日本の皇族はいまだにベールに包まれた雲の上の人々。天皇ご一家の姿は神格化され、短い記者会見や公式文書の中でその心中が語られることもほとんどない。美智子さま、雅子さま、眞子さま(現・小室眞子さん)と、3世代の女性皇族が相次いで精神的に追い込まれたことは、こうした国民との距離と無縁ではないだろう。

演出される“聖家族”の映像や週刊誌のゴシップ記事ではなく、皇族の方々の人間性に直接触れられるような機会が、日本人にも必要ではないだろうか? それは、日本人が国民の象徴を正しく知る機会を与えるほか、皇室の方々の生きやすさにもつながるように思われる。

国王一家。2020年7月17日、デン・ハーグのハウステンボス宮殿の庭で撮影 © RVD / Wesley de Wit
写真提供=オランダ王室
国王一家。2020年7月17日、デン・ハーグのハウステンボス宮殿の庭で撮影 © RVD - Wesley de Wit
山本 直子(やまもと・なおこ)
オランダ在住フリーランスライター

オランダ在住17年のフリーランスライター。オランダのライフスタイルやイノベーション、教育などについて、オンラインメディアや雑誌、ラジオ、ポッドキャストで発信する。著書『週末は、Niksen。』(大和出版)では、オランダ発のリラックス法を紹介。