「ポジティブ」が「ネガティブ」な意味を持つように

そして、皮肉にもpositiveという言葉がnegativeな意味をもつようになってしまいました。positiveが「積極的な」「前向きな」ではなく、「(PCR検査などにおける)陽性の」という意味で使われるほうがずっと多くなってきたからです。かつては落ち込んでいる人や弱気な人にBe positive! などと声をかけていたのが、そのように言うのはもはやあまりいい激励の表現ではなくなってしまいました。

多くの略語も生まれた

このところ世界中で最も広く認識された略語といえば、COVID-19でしょう。単にcovidとも呼びますが、WHOがcoronavirus disease 2019から命名して、2020年2月に発表しました。感染が大きく拡大したのは2020年に入ってからですが、2019年に最初に中国で確認されたので-19となったものです。

それから1カ月後の3月にWHOは、中国を中心に新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大しているので、もはやepidemic(比較的広い地域ではあるが、限定された国・地域での感染症の拡大)ではなくpandemic(感染症の世界的な拡大)が起きているとの認識を示しました。

coronavirusは1968年の造語です。2020年になるまで医療以外の場面ではあまり使われることはありませんでしたが、現在では最も頻繁に使われる英語の名詞の1つとなっています。

他にもいくつかの略語を頻繁に目にするようになりました。CDCもよくマスコミに登場しましたが、これは本部をジョージア州アトランタに置くCenters for Disease Control and Prevention(疾病管理予防センター)のことです。

もう1つは、work[working]from homeを略したWFHです。これは2020年にOEDやMerriam-Websterなどの辞書にupdateとして加えられました。OEDによれば、working from homeは1995年から使われてきたそうですが、略語のWFHは、在宅勤務が一般化するまではほとんど知られていなかったとのことです。WFHは1995年には名詞として、2001年からは動詞として(first attested as a noun in 1995 and as a verb in 2001)使われるようになった、とあります。

略語が動詞として使われるのは比較的珍しいのですが、WFHの場合はアルファベットどおりに発音して、I WFH four days a week, avoiding rush-hour traffic. / I WFH on Fridays during the summer. / I’m not feeling well, so I’ll WFH today.などのように使います。

WFHほど一般的ではありませんが、主にソーシャルメディアやテキストメッセージなどで用いられるOOOという略語もあります。これはout of officeの略で、「遠隔勤務」だけでなく、ただ単に「不在」という意味でも使います。

もう1つよく目にする略語のPPEは、personal protective[protection]equipment(個人用防護具)の略です。これは、医療現場において危険な病原体から医療従事者を守るためのもので、医療用のcoveralls, gloves, gowns, masks, face shields, gogglesなどを指します。

OEDのブログによれば、こちらの略語は1997年から使われていたそうですが、当時は医療関係者だけが使っていたもので、一般化したのはやはり2020年になってからです。 略語でないpersonal protective equipmentのほうは1934年から使われていたようです。