お小遣いは定額制ではなく申告制に
私自身は、自分の子には特別に金融教育をしようなどという考えはなく、日常の会話の中で、あるいは親のお金の使い方を見せながら、自分の考え方を伝えていけばいいと思っています。
親がやっていれば子は自然に興味を持って質問してくるし、こういうのは教わるよりも、自身で経験したほうが身に付くでしょうから。
昨年の夏も、子どもたちと一緒に所有する太陽光発電所の草刈りに行きましたが、その中で自然に売電や電力の仕組みなどの話になりました。
お小遣いも定額制ではなく都度申告制にして、何にいくらかかるのか説明させるとか、高額なものは必要性をプレゼンさせる予定です(これは多くの家庭でもやっていることだと思います)。
定額制だと「収入の範囲内でいかにやりくりするか」というこじんまりとした発想が定着しそうな懸念があるし(考え過ぎかもしれません)、プレゼン制は本人がメリットデメリットを理解し、本人にとっての重要度や期待リターンを考えるきっかけになると思うからです。
あるいは小学校高学年ぐらいになったら家族旅行のプランニングを任せることで、計画性や段取りの経験、トラブルを乗り越える経験をさせたいと思っています。
自ら「稼ぐ」経験は尊い
今はまだ私の子どもたちは小さいので詳細な理解は難しいのですが、私が意識しているのは「あなたはどう思う?」「なんでだと思う?」と本人が自分の頭で考えるよう促し、「そうするとどうなると思う?」と因果を想像させ、「自分で決めなさい」と本人に決断させるようにしています。
金融教育以前の、論理的な思考力や、自分の頭で考え抜くことができる力、自己責任で切り開こうとする意志を育んでほしいと思っているからです。
ただし、私が子どもたちに教えたいと思っていることがひとつあり、それは「起業」です。
世の中のニーズや課題を汲み取り、自分で商品・サービスを作り、自分で値段を付けてそれを世に問うという行為は、究極の自己表現手段であり、「生きる力」の土台になると考えているからです。
「自ら稼ぐ」という自発的な働き方を経験することで、雇われるだけが生き方ではないとわかる。そしてお金を稼ぐということは、顧客からの感謝の言葉との交換であり、尊い行為であると実感してもらいたいと思っているからです。
「AIの普及で消滅する仕事」などとメディアで騒がれていますが、起業を通じてクリエイティブな商品づくりとマーケティングを考えることは、そうした近未来社会への対応力を高めることにも貢献すると思っています。