政府はデジタル改革において信頼と実績がない

また政府のデジタル改革がこれまで国民が認知できるような成功をおさめていない、ということも、教育データ利活用に関する炎上の大きな理由だと思われる。

機能しないCOCOAや新型コロナワクチン接種証明書アプリ(このアプリでの証明書作成の利便性自体は評価すべきものだと個人的には考えるが)。

マイナンバーを利用し、給付金をプッシュ型支援するなどの取り組みもあるが、DV避難者や直近に離婚・別居したひとり親など、もっとも困難な人々への給付金を国が出し渋るようでは、国民のデータ利活用に政府取り組もうとすること自体が信頼に値するとはいえない。

新型コロナが流行する中、乗車中のメトロ内でスマホを使用する男性の手元
写真=iStock.com/Krisada tepkulmanont
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子育て罰の国への不信感

何よりこの国は、親の数や、親の所得で、子供が受けられる支援を簡単に線引きし、子供を排除し差別する「子育て罰」(※3)を親にも子供にも科す国である。支援から排除された親子にとっては、マイナンバーシステムもプッシュ型支援もデータ利活用もなんの意味もないものだろう。

データ連携基盤だけ作って、必要な支援をせず、国民を監視するだけではないか、という不信感はこうした政府のデジタル政策や支援への実績のなさに由来する面も大きい。デジタル庁だけの課題ではない。

※3 末冨芳、桜井啓太『子育て罰 「親子に冷たい日本」を変えるには』(光文社新書)参照。