大きなお世話、わたしにはわたしの意思がある

上野千鶴子『女の子はどう生きるか』(岩波ジュニア新書)
上野千鶴子『女の子はどう生きるか』(岩波ジュニア新書)

あなたの彼氏は古い女性観を持っているかもしれませんね。ほんとはあなただってやりたかったのに、恥ずかしがりだから自分では言えない、だから少々強引でもボクがひっぱらなきゃ、と。そういう男性には、ちゃんと教えてあげてください。

大きなお世話、わたしにはわたしの意思がある、イエスはイエス、ノーはノー。心配しなくても、自分で決められる。突然のおしつけは、恐怖しか与えないから、逆効果にしかならない。キスをしたいとき、セックスをしたいとき、自分にその準備があるかどうかは、そのときになってみないとわからない。そういう時には必ずわたしにいてくれない? 「キスして、いい?」って。そうしたらニッコリ笑って「いいわよ」って言うから。……そうしたらふたりとも幸せになれるでしょう?

ひとつひとつ、確かめてね

でも、忘れないでください。キスしてもいい、って答えたからって、ハダカになっていいと答えたことにならないし、セックスしてもいい、と答えたことにはならない。セックスしてもいい、と答えたからと言って、避妊しなくていいとは言ってない。ひとつひとつ、わたしの意思を確かめてね、と。

最近ではYes means Yesと、「合意なきセックス」を性暴力だと見なす考え方がようやく広まってきました。夫婦のあいだでも同じ。夫婦だからといって相手の身体にむりやり押しいってよいものではありません。夫婦のあいだでも合意がなければ強姦になる、という考え方も、ようやく広がってきました。

男のなかには、女がはっきり意思表示をするとえる、というバカがいるようですね。自分の意思を持った女がキライ、な男は、あなたの方から願い下げにしたほうがよいでしょう。

上野 千鶴子(うえの・ちづこ)
社会学者

1948年富山県生まれ。京都大学大学院修了、社会学博士。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で40年間、教育と研究に従事。女性学・ジェンダー研究のパイオニア。