巨額の手当を辞退した18歳のプリンセス

そんな状況を見ていると、今いらっしゃる未婚の皇室の方々、とりわけ、悠仁さまや愛子さまに縁談話が持ち上がろうものなら、メディアの報道がとんでもないことになるのではないだろうかと危惧しているのは私だけではないだろう。そして、まさに海外メディアが今年初めにこぞって報道した 日本の皇室の「お世継ぎ問題」を、さらに助長することになりはしないだろうか。

ちなみに世界の王室を見ると、国費から支給される手当を受け取らないことにしたのは、実は眞子さまだけではなかった。今年6月、高校を卒業したオランダの王位継承者アマリア王女が、18歳から支給される予定だった年間160万ユーロ(約2億1000万円)の手当を受け取らないことを表明した。オランダ王室では前代未聞のことである。

オランダでは18歳になる王女には手当を受け取る権利が与えられ、この手当は彼女が戴冠するまで支払われることになっている。しかし、アマリア王女は、「私はこの手当に見合うような行動をしておらず、特にコロナウイルスのパンデミックで、他の学生がもっと大変な思いをしている時に、そのような金額を受け取ることには違和感を覚えます」と言って手当の受け取りを拒否したそうだ。

王女は、大学に入学する前の今年秋から2022年春までの1年間、ギャップイヤーという休暇を取ることにし、この間、「世界を発見し」「20年後にはできないだろうことをする」つもりだという。もちろん、手当を受け取らないと決めた背景には、オランダ王室はヨーロッパでもっともお金のかかる君主制だと批判を浴びていたこともあると言われているが、それでも、このZ世代のお姫さまの選択にはたくましいものを感じる。

「専業主婦」が前提なのか

小室さんとニューヨークに行ったら、お金の面でも苦労すると言われている眞子さまだが、国際基督教大学を出られた立派な才女である。今までもお勤めされていたし、働こうと思えばニューヨークでも働けるはずだ。どうも日本の報道を見ていると、小室さんの給料に頼って生活する専業主婦になることが前提になっているように見えるのだが、21世紀の世界の王室が変わってきていることを考えると、日本の皇室を見る私たちの目もそろそろ変えたほうが良いのかもしれない。

大門 小百合(だいもん・さゆり)
ジャーナリスト、元ジャパンタイムズ執行役員・論説委員

上智大学外国語学部卒業後、1991年ジャパンタイムズ入社。政治、経済担当の記者を経て、2006年より報道部長。2013年より執行役員。同10月には同社117年の歴史で女性として初めての編集最高責任者となる。2000年、ニーマン特別研究員として米・ハーバード大学でジャーナリズム、アメリカ政治を研究。2005年、キングファイサル研究所研究員としてサウジアラビアのリヤドに滞在し、現地の女性たちについて取材、研究する。著書に『The Japan Times報道デスク発グローバル社会を生きる女性のための情報力』(ジャパンタイムズ)、国際情勢解説者である田中宇との共著『ハーバード大学で語られる世界戦略』(光文社)など。