令和時代の「イケてる上司像」

冒頭で触れた、部下と上司の関係も同様です。

ビールグラスが“減っている”部下を見つけ、すかさずビールを注いだりお店に追加注文したりする上司は、昭和の時代なら「気が利く」と見られたかもしれない。

「でも令和のいまは、飲み会開始から1時間後に全員分の『水』をさりげなく頼むとか、ビールが“減っていない(飲んでいない)”部下に『これならどう?』と、メニューにあるアルコール度数の低い飲料を薦めてあげる、といった配慮が大切です」(梶浦さん)

つまり“減っている”グラスではなく“減っていない”グラスのほうに注目して、飲めない(飲まない)部下に気配りできる上司こそが「イケてる」とみなされるのが、令和流と言えるでしょう。

人前で酔っぱらうのはカッコ悪いという美意識

また、会社の飲み会で飲まない若者が、「常に飲めない」とは限りません。

先の「ソーバーキュリアス」のように、いまの若い世代は「人前で酔っぱらうのはカッコ悪い」と、あえて飲まない日も少なくないうえ、飲むシーンも「長時間かけて、映画やスマホを観ながらチビチビ」や「休日に洗濯しながら」「オンライン飲み会で」など、年々多様化しています。

こうしたことから、「若者に多い『自分のペースでゆっくり楽しく飲みたい』といったニーズを、ビアリーによってすくい上げたい、との思いもありました」と梶浦さん。

もっとも、ここで疑問が湧きます。「酔わずにマイペースで飲みたい」とのニーズは、すでに従来のノンアル製品がある程度、包括できていたはず。

なぜ同社は3年半もかけて、あえて「微アル」という新市場に挑戦したのでしょう。